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Jリーグ 1年前

PKで反則になる助走とは?「フェイントに大きな制限はない」【明日から使えるサッカールール2】

text by 攻劇 photo by Getty Images

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「PKはサッカーではない」と切り捨ててしまうのは簡単なことだが、重要な試合の決着方法として用いられている以上、勝つための方法として最善を尽くすのがプロというもの。『フットボール批評issue39』では競技規則の観点からPKを見つめ直し、ルール上「やっていいことと、してはいけないこと」を整理している。ここではそれを一部抜粋し、2回に分けて公開する。(文:攻劇)


知っておきたいPKの「助走」

【写真:Getty Images】

 次にキッカーが反則となり得るのは、助走からキックを行うまでの間に“認められないフェイント”を行ったときだ。真っ直ぐボールに向かう選手から歩くような速度で助走したりテンポを変えてキックしたりと、PKを蹴るスタイルは十人十色だ。PKを成功させるために各選手が工夫を凝らしているが、実はルール自体が寛容なものとなっている。

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 まず助走中のフェイントに大きな制限はない。

 浦和レッズFW興梠慎三が行うような途中で止まるスタイルや、パリ・サンジェルマンFWネイマールが行うような速度に変化を加えるスタイルも合法である。スキップも可能だ。さらにキックを行うまでの時間制限も設けられていない。高校選手権ではキックまでに30秒以上をかける選手も見られたが、これも反則ではない。

 無論、長々とキックを行わない場合は主審から注意を受けることになるが、よほどのものではない限りキッカーのペースで行うことができる。

 反対に反則となるフェイントも紹介しよう。競技規則では「一度助走を完了したあと、ボールを蹴るためにフェイントをする」と示されているが、要するに“キック時の軸足を置いてからはフェイントを行えない”わけだ。蹴り足を途中で止める場合などがこれに相当し、違反したキッカーは結果に関係なくイエローカードが提示される。

 また、“ボールを後方へ蹴る”ことも禁止されている。PKは必ずしもシュートを打たなければいけないわけではなく、パスを選択することも可能だ。パスを選択する場面は少ないものの、使い方によっては裏をかけるためまれに発生する。勇気のいるプレーになるが、後方に蹴った時点で反則となる点を知らないと非常にもったいない結果になるため注意が必要だ。また、この反則はカード対象ではない。

 これに関連して「2連続触り」や「2度蹴り」と呼ばれるプレーも紹介する。キッカーは一度ボールに触れたあと、ほかの選手が触れたあとでない限りボールに触れることはできない。

 ゴールポスト・クロスバーは“選手”ではないため、GKが触れずこれらに当たったボールがキッカーに戻ってきたとしても触れてはいけないのだ。

 思わずこぼれ球を押し込みたくなるが、その気持ちをグッとこらえて後方から駆け寄ってくる味方選手に託すこととなる。また、キック時に軸足が滑ってキックした瞬間に蹴り足と軸足の両方に連続的に当たることもまれにあるが、これも連続して触れているため認められないプレーだ。試合は守備側のFKで再開される。

<雑誌概要>

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特集:眠れないほど罪深い「PK戦」の話
10年間ご愛読ありがとうございました

まずはじめに言っておきたいのは、「PK戦」は面白いものではない。ペナルティー=罰という名称からして、そこかしこにネガティブな要素が散乱している。いい例として、観ている側は「アイツ、決めそうだな」とは言わずに「アイツ、外しそうだな」と言う。サッカー好きでなくとも戦犯を血祭りに上げられる残酷なシステムが面白いわけがないのだ。
 それゆえ、特集企画のほとんどはネガティブなアプローチから生まれたような気がしている。冒頭のPK戦廃止論から始まり、脳のストレス、ルールのグレーゾーン……。そう、特集名どおり、まさに罪深い企画のオンパレードである。しつこいようだが、最終号となる本誌を読了したとて「PK戦」が面白くなることはない、と断言しておく。


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【了】

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