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レアルは何が違った? マンCが圧倒した方法とペップが徹底したもの【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

前半にハーフコートゲームとなった理由



 シティが保持してレアル・マドリードが自陣に構えてカウンターを狙うというのは1stレグと同じ構図だった。

 違ったのはレアル・マドリードの守備の形だ。この試合ではロドリゴとヴィニシウス・ジュニールの両WGが、シティのロドリ、ジョン・ストーンズをケアする立ち位置を取っており、普段より内側のポジションで構えていた。

 それによりシティの最終ラインからベルナルド・シウバとジャック・グリーリッシュへのパスコースが完全に空いており、ボールを失わない彼らを起点に何度も攻撃を仕掛けた。

 この試合でシティの両WGは、レアル・マドリードの両SBをドリブルで翻弄するなど質で上回っていた。その結果、中盤の選手もしくは両WGが彼らに対してダブルチームのような形で守備を行う必要性が生まれ、レアル・マドリードの守備にマークのズレが生まれた。

 シティの選手たちは、この隙を見逃さなかった。その典型的な例が先制点の場面である。

 左からベルナルド・シウバへとボールが入ると、エドゥアルド・カマヴィンガとヴィニシウスの2枚が対応。そしてハーフスペースを上がったジョン・ストーンズに対してはトニ・クロースが監視し、ベルナルド・シウバからボールが入るとカマヴィンガもボールをホルダーに近づいた。

 この時点で右サイドはシティの選手とマドリーの選手が4対4と数的同数だったのだが、ボールホルダーに対して2人で対応をしていたため、カイル・ウォーカーとケビン・デ・ブライネは完全にフリーだった。

 フリーな出し手を作り出したこと、そしてポジションを入れ替えることで相手のマークを外したことによって、最後はデ・ブライネからフリーのベルナルド・シウバへとパスが渡り、先制点を仕留めた。

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