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日本代表 11か月前

サッカーU-20日本代表メンバー全選手紹介。世界に挑む21人の逸材【FIFA U-20ワールドカップ2023選手名鑑】

シリーズ:編集部フォーカス text by 河治良幸 photo by AFC

MF


【写真:2023 Asian Football Confederation (AFC)】

背番号5:山根陸(やまね・りく)
生年月日:2003年8月17日(19歳)
所属:横浜F・マリノス
J1リーグ戦成績:6試合0得点0アシスト

 横浜F・マリノスのアカデミーが生み出した技巧派のボランチで、中盤からゲームメイクとバランスワークの両面でチームに良いリズムをもたらす。戦術理解力やゲームコントロール力にも優れており、ボールの奪いどころや遅攻と速攻の使い分けなど、勝利のガイドラインを示せる選手だ。今回は右サイドバックの層が薄いこともあり、大会のどこかで同ポジションを任されるかもしれない。

 “03ジャパン”の活動に最も参加しているメンバーの一人で、一次予選ではキャプテンも担っただけに、松木キャプテンの補佐役としても期待される。日本代表としての責任感はもちろん、“マリノスファミリー”の代表という自覚も強い選手で、サポーターのメッセージをパワーに変えて世界で躍動してくれるはずだ。

背番号6:福井太智(ふくい・たいち)
生年月日:2004年7月15日(18歳)
所属:FCバイエルン・ミュンヘン/ドイツ

 今や“育成王国”の名を盾にする鳥栖の下部組織から出てきた鬼才であり、変幻自在のドリブルと意外性に富んだパス、計算された展開パスと中盤の攻撃に求められる多くのプレーで違いを生むことができる。そんな福井も史上最年少となる16歳7ヶ月でYBCルヴァンカップに出場した時には「何もできなかった」と険しい表情で語っていたのが2年前だ。

 そこから大きく成長し、練習参加からドイツ随一の名門であるバイエルン・ミュンヘンに完全移籍での加入を勝ち取った。現在は4部リーグのセカンドチームでレギュラーとして輝きを放っており、狭き門と言われるトップチームにもアピールしている。北野らと臨むはずだった2021年のFIFA U-17ワールドカップはコロナ禍で無くなってしまったが、その思いをぶつけてくれるはずだ。

背番号7:松木玖生(まつき・くりゅう)
生年月日:2003年4月30日(20歳)
所属:FC東京
J1リーグ戦成績:7試合0得点1アシスト

 パリ五輪世代のチームにも招集された“03ジャパン”の大黒柱であり、高卒ルーキーだった昨年からFC東京でスタメンを張り続ける。青森山田高校では1年生からレギュラーで、冬の風物詩である高校サッカー選手権でも大きな注目を集めたが、本人は地に足をつけて、心身を高めてきたからこそ今がある。

 中盤でのボール奪取と迫力ある攻め上がり、そして左足のシュートと、どれも日本の同年代では飛び抜けているが、それらが世界の舞台でどこまで通用するかは未知数だ。ただし、Jリーグでも試合で見つけた課題に向き合い、アップデートすることで成長を重ねてきた。冨樫監督からチームキャプテンに指名された松木。目標である世界一を勝ち取るには総力戦になってくるが、松木のフル稼働は不可欠だろう。

背番号8:佐野航大(さの・こうだい)
生年月日:2003年9月25日(19歳)
所属:ファジアーノ岡山
J2リーグ戦成績:10試合2得点2アシスト

 豊富な活動量とセットプレーのキッカーとしても活かされる正確な長短のパスを武器に、主に左サイドから立て続けにチャンスを作り出す、超万能型のタレントだ。J2岡山では高卒ルーキーだった昨シーズンから主力の一角を担い、ボランチ、左のサイドハーフ、インサイドハーフ、さらには3バックの左ウイングバックなどでハイレベルなプレーを見せている。

 鉄のメンタリティの持ち主でもあり、AFC U-20アジアカップのキルギス戦では松木が獲得したPKを冷静に決めて、先制点をもたらした。鹿島アントラーズで活躍する兄の海舟も「世界で活躍してほしい」とエールを贈る。余談だが、初戦の相手であるセネガルには「SANO」というセンターバックの主力選手がおり、2人がピッチに立つことになれば話題を呼びそうだ。

背番号14:永長鷹虎(えいなが・たかとら)
生年月日:2003年4月7日(20歳)
所属:川崎フロンターレ
J1リーグ戦成績:1試合0得点0アシスト

“03ジャパン”が誇る情熱のドリブラー。カットインからの左足シュートはチーム最大の武器と言っていい。川崎フロンターレでは右ウイングに家長昭博という偉大すぎる存在がおり、なかなか出場チャンスを得られていないが、着実に成長していることはAFC U-20アジアカップで証明された。周囲との関係の中で、ドリブルを効果的に使えるようになっているのだ。

 鍵を握るのは永長をスタートから起用するのか、あくまで勝負のカードとしてベンチに置くのかということだ。横山歩夢(鳥栖)や甲田英將(名古屋)といった強力なオプションになれる選手が外れており、永長の重要性は増している。決勝まで行けば7試合を戦うことになるので、遅かれ早かれスタメンのチャンスも巡ってきそうだが、どういう起用法になっても、彼のドリブルが得点の鍵を握ることに変わりはない。

背番号17:松村晃助(まつむら・こうすけ)
生年月日:2004年5月2日(19歳)
所属:法政大学

 マリノスのアカデミー育ちである松村は一言で表すと、非常にサッカーIQの高い選手だ。体以上に頭を働かせることを信条としており、とにかくあらゆる動き、ポジショニングが効いている。

 フィールド選手では唯一の大学組であり、今年1年生にして法政大で開幕スタメンを飾った。どちらかといえば中盤のインサイドをメインとする選手だが、サイドアタッカーとしても多彩な仕掛けができる。1つの流れでもワンタッチパスとドリブルを織り交ぜるなど、非凡なセンスを備えながら、戦術的なタスクも怠らない。

 AFC U-20アジアカップは追加招集からアピールして、試合を追うごとに存在感を高めていった。21人しか登録できない世界大会では間違いなく貴重なカードになるが、及第点で終わるつもりはないようだ。

背番号20:安部大晴(あべ・たいせい)
生年月日:2004年6月7日(18歳)
所属:V・ファーレン長崎
J2リーグ戦成績:8試合0得点0アシスト

 2004年生まれ組の一人で、松木玖生や山根陸より1つ下の年齢にはなるが、リーダーシップという部分では負けていない。ジュニア年代からV・ファーレン長崎の下部組織でプレー。16歳からトップの試合に出ており、高校3年生でプロ契約した超エリートだが、昨年に負った膝の大怪我を乗り越えて、代表に戻ってきた。誰とも打ち解ける気さくなキャラクターの持ち主でもある。

 昨年の天皇杯で記録したプロ初ゴールは、目の覚めるような左足のミドルシュートによるスーパーゴールだった。展開力と機動力を合わせ持ち、ワイドな展開でチャンスの起点になったかと思えば、味方とのワンツーで敵陣をすり抜けてフィニッシュに絡む。左足のプレースキッカーとしても優秀で、彼がキッカーになることで、同じ左利きの松木をキッカーではなく、フィジカルの強さを生かして、ゴール前のターゲットマンにできるメリットもある。ボランチがメインになるが、試合や時間帯によって2列目から違いを生み出す役割も担うことになりそうだ。

背番号10:北野颯太(きたの・そうた)
生年月日:2004年8月13日(18歳)
所属:セレッソ大阪
J1リーグ戦成績:3試合0得点0アシスト

“03ジャパン”の10番を背負うスーパーエース候補生。和歌山県の出身だが、U-15年代からセレッソ大阪でスキルを磨いてきた。昨年は高校3年生にして柿谷曜一朗、香川真司に次ぐ若さでプロ契約し、準優勝に貢献したYBCルヴァンカップでニューヒーロー賞に輝いた。

 鋭い動き出しと柔らかいボールタッチを融合しながら、周りの選手とも絡んでバイタルエリアを攻略する。前からの守備意識も高く、彼のプレスから中盤のボール奪取につながることが多い。攻撃センスは非常に高いが、個人で全て完結するタイプではなく、ビジョンをいかに共有するかが活躍の生命線となる。そういう意味ではセレッソの先輩である南野拓実に通じるかもしれない。取材の受け答えは誠実だが、芯の強さは感じられる。大会での活躍はもちろん、勝利後のフラッシュインタビューにも期待だ。

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