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Jリーグ 9か月前

浦和レッズはどういうクラブなのか? 「ラストチャンスだ…」声を荒げた西川周作の思い【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

いつもと違う埼玉スタジアム

浦和レッズサポーターと名古屋グランパスサポーターを隔てる緩衝地帯
【写真:Getty Images】



「名古屋には天皇杯でボコボコにやられて、その結果、ああいうことになってしまった。もちろん自分たちにも責任がありますし、その名古屋にホームでは絶対に負けられないと思っていました」

 以心伝心というべきか。サンフレッチェ広島から加入して今シーズンが10年目になる守護神、西川周作も関根に共通する背水の陣を心のなかで敷いて、名古屋戦のキックオフを迎えていた。

「今日がラストチャンスだと思っていました。引き分けでもダメだと思ったし、勝つしかない状況を何としてでも引き寄せるプレーや姿勢といったものは、とにかく大事だと思っていました」

 キックオフ前のウォーミングアップには、ゴールキーパー陣が先にピッチに入る。名古屋戦では西川たちが姿を現した瞬間から、赤く染まったゴール裏に無数の旗が振られ、大声援が送られてきた。

 横浜F・マリノスを同じく埼玉スタジアムに迎え、スコアレスドローに終わった6日の明治安田生命J1リーグ第22節を西川は思い出していた。天皇杯の一件があった4日後に行われた一戦だ。

「天皇杯で敗退した後に、自分たちが(覚悟を)示さなければいけない試合で本当に清々しい応援というか、まとまった感じのある声量がいつも以上に大きかったとマリノス戦で感じていました。ゴールキーパーの僕が(ゴール裏の)一番近いところで、いつもと違うと感じられる。その意味では今日も同じぐらい気合いが入った、いつもとは違う雰囲気を作ってくれたと思っていました」

 マリノスとヴィッセル神戸に食らいつく3位の名古屋と、上位戦線への生き残りをかける4位の浦和。開始直後から両チームの選手たちが激しく競り合った直接対決は前半11分、FWホセ・カンテの2試合連続ゴールで浦和が先制。その後はともに決定機を生かせないまま1-0で折り返した。

 後半に入ると浦和の足が止まりかけ、名古屋の猛攻を食らう展開が続く。そして、88分に名古屋が右コーナーキックを獲得した直後。スタジアムを再び大声援が揺るがした。

「We are REDS! We are REDS! We are REDS!――」

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