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日本代表 8か月前

ボランチだけの問題ではないが…。サッカー日本代表の質を左右する4人とドイツ戦との差【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

ボランチだけの問題ではないとはいえ…



 15分、伊藤敦樹が堂安律とのワンツーから左足で先制。引いて守備を固めていた相手に対してボールを動かして隙を探り、最終的に右サイドから崩せている。伊藤敦は前線への飛び出しと得点力という特徴を出せていた。守備力と組み立て能力を兼ね備えているボランチは多いが、守備力と得点力が持ち味という比較的珍しいタイプである。

 コンパクトなミドルゾーンでの守備からのカウンターアタックを基調とする戦い方において、伊藤敦のタイプははまりやすい。ただし、持ち味のハードワークも後半は十分ではなく、課題の組み立ては課題のまま残った。

 トルコ代表にも決定機に近いチャンスがあったが、28分に日本代表の2点目が決まる。久保建英のシュートをGKが弾いたところに中村敬斗が詰めてゲット。素早い振りの久保のシュートは威力があったが、こぼれ球を冷静に決めた中村敬の上手さが光った。36分にもシュートブロックに来たDFの足の間を通す技ありのシュートを見せて3-0。中村敬はフィニッシャーとしての能力をみせつけた。しかし一方で、それ以外はほとんど攻撃に絡めていない。味方との関係性はまだ見えてこなかった。

 ここまではカウンターアタックの精度と正確なフィニッシュで1枚上の力を見せつけていたが、45分にFKから1点を返されると、後半にも失点して1点差に。守備が緩くなり、相手につけこまれていた。

 すでに前半の15分ほどで双方がミドルゾーンで待ち受ける守備に移行する中、ここが生命線のはずの日本代表の守備強度は十分ではなく、キャプテンを任された田中碧は時間の経過とともに存在感が薄れ、相方の伊藤敦との距離感も離れがち。ボランチだけの問題ではないとはいえ、遠藤、守田のコンビとの差は感じた。

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