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川崎フロンターレを勝利に導いた「声」。本来のスタイルを捨てて得た「エネルギー」とは

text by 加藤健一 photo by Getty Images

川崎フロンターレに足りなかったものとは?




「去年1年ずっと(湘南で)やらせてもらっていた分、相手がどこに立ちたいかはわかりますし、どこをやらせない方がいいのかもわかる。WBもやったこともあって全体が見れたので、湘南がどこを嫌がるかをイメージしながら、プレッシャーをはっきりしながらできるだけ的確に(味方と)話せたと思います」

 左サイドでプレーしていた前半途中までと後半はベンチサイドでプレーしていたこともあり、鬼木監督とコミュニケーションを取る場面もあった。「川崎に足りない、もっとやってもいいのは声の部分なので、そこは意識してやっています」と言うように、指揮官とイメージを共有しつつ、ピッチに伝えるという役割も果たしていたように見えた。

 今季は上位争いに食い込むことができず、歯がゆいシーズンとなっている。それでも、この勝利により公式戦の連勝は3に延び、3バックという新たなオプションも手にすることができた。

「2020シーズンに[4-3-3]にしたときもそうですけど、何かシステムを変えたり、変化を起こしたときは会話が非常に増える。それがエネルギーになっているのかなというのはあります。守備も攻撃も、エネルギーがいい方向に向かっている」

 この試合では車屋紳太郎と佐々木が負傷交代となった。満身創痍のチームが過密日程の中で、耐え抜いて勝ち点3を取った意味は大きい。瀬川は「もっとボールをつながないと、フロンターレのサッカーをしないといけない」と前置きしつつも、この勝利の意味を噛みしめる。

「本来のサッカーはできなかったですけど、ゼロで抑えることもできましたし、相手にとって嫌な試合だったかなと思います。みんなが考えながらやっていたし、最後のところを全員で守り切るというのはできていたので、サッカーとしては良かった」

 本来のスタイルを捨ててつかみ取った勝利には、勝ち点3以上の意味があるかもしれない。

(取材・文:加藤健一)

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【了】

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