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「ならば夢はないのか」。表には出ないJリーガーの現実、現役J3選手は何を思う?【コラム】

シリーズ:フットボール批評オンライン text by 岡田優希 photo by Getty Images

1人のJリーガーとして今一度自分の胸に手を当てて考えたい



 2023年度日本プロサッカー選手会総会において、新たに選手会長に就任した吉田麻也選手を中心として、Jリーガーの待遇改善を求め様々な交渉を行うことが通達された。

 具体的には最低年俸の設定、ABC契約の撤廃、肖像権についての整理、さらには主にJ3における年俸支払い、実費支払い問題についてである。

 ヨーロッパのトップリーグで長年に渡り活躍され、ヨーロッパにおけるサッカー選手の立場を熟知している吉田会長が中心となり、これから日本がさらに世界と闘っていくためにはJリーグの底上げが不可欠であり、そのためには選手の待遇やリーグのスタンダードを上げなければならないと、改革の重要性を訴えたのだ。

 ここから交渉や改革が始まっていくことを考えると、まだまだ道のりは長く様々な障害があるが、確かな一歩を踏み出している。

 自分自身もこの本を大学時代に読んでいれば、進路の選択は変わらないとしても、どれだけ茨の道を歩むことになるのか、日々の覚悟が変わったと感じる。

 私は就職活動をせずに、プロ志望一本で学生時代を過ごしたが、Jリーガーの華やかな部分ばかり見て、本書にあるようなプロの世界の現実を直視していなかった。初めて目の当たりにするJリーガーの現実に対し、自らの覚悟が甘かったと思う。

 高校生や大学生の進路を考えるタイミングの悩める学生にとって、本書は表には出ないJリーガーの現実を伝えてくれる。

 さらに今現在J3でプレーする1人のJリーガーとして、改めて自らの立場を理解するきっかけになった。

 このような状況だからこそ、何をピッチの上で表現するのか、どんなキャリアを描いていくのか、今一度自分の胸に手を当てて考えたいと思う。

 そしてこれから出会う未来のJリーガーのために、少しでも良い環境を作り出せるよう、積極的に働きかけていきたい。

(文:岡田優希)

裸のJリーガー 知られざるセカンドキャリアの光と影


刊行:カンゼン
著者:大泉実成著
定価:1,700円(+税)
頁数:288ページ

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岡田優希(おかだ・ゆうき)

1996年5月13日生まれ、神奈川県出身。18歳まで川崎フロンターレの育成組織に所属し、同期の三好康児や板倉滉とプレー。早稲田大学を経て2019年にFC町田ゼルビアに加入して3シーズン在籍。2022シーズンはテゲバジャーロ宮崎、2023シーズンはギラヴァンツ北九州でプレーする。

【了】

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