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サッカー日本代表がアジアで勝つためには? スペイン人指導者が考える「ラストピース」【後編】

シリーズ:フットボール批評オンライン text by 川原宏樹 photo by Getty Images

今の日本代表が強い理由を分析すると…



「長期にわたる国際トーナメントでは、選手らが寝食を共にする時間が必然的に長くなります。そういったなかでも日本代表の選手らは、仲のいい姿ややり取りをSNSなどで見せてくれています。そういった様子からは、選手同士に軋轢を生むような雰囲気はなく、選手各々がリスペクトし合っていいフィーリングを保っているということが推察できます」

 こういったチーム内の状況は、基本的には外部からはわからない。しかし、そういった選手らからの発信によって、ポジティブな雰囲気を推察できる。そういったチームの雰囲気がコンディション調整やプレーの連動性にも影響をもたらすという。

「外部の我々からも雰囲気のポジティブさを感じられるということは、おそらく本当にいい雰囲気をつくり出せているのではないでしょうか。メンタル面はコンディションやプレーにも大きな影響を及ぼします。それは期間が長くなるほど、大きくなるように思えます。そのことを踏まえると、今の日本代表から感じ取れる雰囲気はとてもポジティブで、選手らは気持ちよくプレーできているのではないでしょうか。ということは、何か期待できる結果が待っているかもしれませんね」

 コンディション調整の重要性を説いたアレックスは、プレー面に与える影響について真意を突いた。

「誰であっても同じことが言えると思うのですが、一緒に過ごしていて楽しい仲間とはサッカーをしていても楽しいわけじゃないですか。それは我々もそうですし、始めたばかりの子どもたちもそうです。もちろん日本代表の選手たちにも言えることだと思います。そのようにポジティブな気持ちで試合に臨めると、選手らはプレー面でもいいバイブスを生み出します」

「隣にいる選手が好き。チームメートのことが好き。そういった前向きな気持ちで選手がプレーできるのは、チームにとって強みになります。なぜなら、メンタル面での前向きなバイブスはプレー面での前向きなバイブスにつながるからです」

 今の日本代表が強い理由を分析したアレックスは、日本代表に限らずすべてのチームスポーツに通ずる真理を教えてくれた。また、このままの状態でアジアカップに臨めれば、日本代表にはいい結果が伴うだろうと予想している。

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