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久保建英がピッチに起こす変化。「あらゆる罠」をもかいくぐる技の連続【CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

久保建英のCL初ゴールはお預けとなったが…



 昨日発表された日本代表メンバー26人にも名を連ねた久保建英は、ここまでUEFAチャンピオンズリーグ(CL)全試合で先発に名を連ねている。ベスト16入りに、必要不可欠なピースだった。

 久保が相手にとって厄介な存在となるのは、ベンフィカ戦でも変わらなかった。CL初ゴールはまたしてもお預けとなったものの、全体トップタイとなるドリブル成功数2回と、同トップのキーパス3本(セットプレーも含む)を記録している(スタッツはデータサイト『Who Scored』を参照)。

 珍しくシュート0本に終わったのは寂しいが、しっかり2得点に絡んでいる。メリーノの先制ゴールと、バレネチェアの3点目のシーンだ。この2つの場面には、いずれも共通点があった。

 この試合では筋肉系のトラブルを抱えたアマリ・トラオレが欠場。代わりにアリツ・エルストンドが右サイドバックに入り、久保との縦関係を築いている。

 馬力のあるオーバー&インナーラップで攻撃に厚みをもたらせるトラオレとは違い、エルストンドは守備型の選手だ。そのため久保を一気に追い越す動きは多くなく、後方サポートに回っていた。

 こうなると、右WGの久保が敵陣深い位置でボールを持った際、ベンフィカの左サイドは久保への守備に集中する。実際、左WBフレデリク・アウルスネス、左IHジョアン・マリオ、左CBモラートなど、3人で囲まれるシーンが目立っていた。

 しかし、久保は簡単にボールを失わなかった。この抜群のキープ力こそ、ソシエダ、そしてベンフィカの両チームにとって大きなポイントとなっている。

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