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Jリーグ 5か月前

小島亨介はワインのように熟成される。守護神の変化とアルビレックス新潟への還元【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「いい準備ができていた」「試合を通して意識していました」

アルビレックス新潟GK小島亨介
【写真:Getty Images】



「ただ、シュートまで打たれる、という決定的なチャンスを作られている点を考えると、その前でどのようにそのピンチを防ぐのか、というところが重要になってくる。味方の対応も含めて、僕自身が後ろからしっかり動かすことができていれば、もっと守りやすかったのかなと感じています。

 シュートストップに関しては、実際にいい準備ができていたので、冷静に対応できたのかなと。今日は体がすごく動いていましたし、リラックスしていい対応ができました。前半早々に(マテウスに)抜け出されて、1対1気味になった場面でうまく守れたことによって、自分としても、何て言うんですかね、少し乗った感覚はありました。その後もしっかり冷静にプレーできたのかなと思っています」

 守るだけではない。88分には巧みなポストプレーでボールを収めたロペスが、左サイドで反応した宮市亮へ完璧なスルーパスを通す。途中出場でスタミナ十分の宮市が、武器とする加速力で一気に前へ抜け出す。しかし、その先に立ちはだかったのが、マリノスの狙いを読んでいた小島だった。

 ペナルティーエリアを飛び出してパスをカットすると、ボールを奪いに来た宮市のプレスをかわし、さらにタッチライン際にいたパリ五輪世代のドリブラー、三戸舜介へしっかりと縦パスをつけた。

「オープンな時間帯でしたし、相手が常に背後を狙ってきているのはわかっていた。なので、僕自身も背後に来るボールに対して常に準備はしていましたし、あのシーンだけを振り返れば本当にいいスプリントから、ボールに触る相手を見ながら冷静にかわせた。とにかく1点を取りたい、という気持ちは僕自身も持っていましたし、そのためにはできるだけ味方にパスをつなげられれば、より攻撃の回数というのも増えると思うので、そういったプレーは試合を通して意識していました」

 この場面はチャンスにならなかった。それでも試合終了間際の土壇場で、積極果敢なパスカットから相手の動きを冷静沈着に見極める。自らに言い聞かせている、ビルドアップの起点にもなるプレーが少なかった点を含めて、小島は「個人としてはまったく満足していない」とマリノス戦を自己採点している。

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