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日本代表 4か月前

「分かっていたのに…」サッカー日本代表は無策だった。研究され封じられた武器【アジアカップ2023現地取材コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

苛立ちの募る45分。停滞感の最大の要因は…



 そこからの日本代表はサイドを起点に攻めようと試みたが、右の槍である伊東がボールを持つと、相手左SBのみならず、左CB、ボランチまでもが警戒。なかなか深い位置まで侵入できず、フィニッシュに持ち込めなかった。

 逆にイラク代表は伊東・菅原由勢が陣取る日本代表の右サイドを狙い撃ち。伊東を下げさせ、低い位置にとどまらせるという意図もあっただろう。その結果、ストロングであるはずの右サイドが封じられる形になった。第2次森保ジャパン以降は左の南野拓実とトップ下の久保建英の並びでほとんどプレーしておらず、連係面にやや戸惑いがあった模様だ。

 相手の対策に苦労した日本代表の前半シュート数はわずか3本。苛立ちの募る展開が45分間続いた。しかも前半終了間際に再び菅原のサイドを破られ、フセインに2点目を奪われるという最悪の展開に。この時点で勝負は決まっていたのかもしれない。

「僕らの今までの強みがサイドでの1対1だったので。それを抑えられるとやっぱりシュートまでいけないというのが全てだと思っています」とベンチから見ていた堂安律がズバリ指摘した通り、右の槍を封じられた時の「次の手」がなかったのが、停滞感の最大の要因だろう。

「サイドの打開も、個で打開するのか、チームとしてコンビネーションで崩していくのかというポイントがありますが、個の部分は研究されていた。普段なら違う選手が出てくるところをベトナムもイラクも守備が強い選手を起用し、2枚で対応してくるところがあったし、コースの切り方もかなり研究してきていた」と森保監督も厳しい表情でコメントした。

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