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日本代表 2か月前

“8年の冬”で危機感から恐怖心へ…なでしこジャパンが1つになった瞬間。守護神が下した大胆な決断とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

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パリオリンピック2024(パリ五輪) 女子サッカー アジア最終予選第2戦、なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)対北朝鮮女子代表が2月28日に行われ、2-1で勝利したなでしこジャパンがパリ五輪出場を決めた。出場を逃した8年前を知る山下杏也加はその重圧に打ち克ち、チームを救う素晴らしい活躍を見せた。(取材・文:藤江直人)


GKが感じた重圧。五輪出場を逃した過去…

なでしこジャパンGK山下杏也加
【写真:田中伸弥】

 恐怖心がなかった、と言えば嘘になる。自分のミスでゴールを許してしまえば。失点が原因で負けてしまえば。勝者が自動的にパリ五輪切符を獲得する、北朝鮮女子代表とのアジア最終予選第2戦がキックオフを迎える直前まで、なでしこジャパンの守護神・山下杏也加は不安に支配されていた。

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「試合当日というか、試合が始まる直前まで怖さといったものがありました。やはりゴールキーパーなので、そういったプレッシャーといったものはすごく重いと感じていました」

 無理もない。キーパーのミスは失点に、そして黒星に直結する。しかも、山下自身はなでしこジャパンがアジア最終予選で敗れ、4年に一度の五輪の舞台に立てなかった事態を経験している。

 リオデジャネイロ五輪出場をかけて、2016年2月から3月にかけて大阪で集中開催されたアジア最終予選。日本とオーストラリア、中国、韓国、北朝鮮、ベトナムが一堂に会し、1回戦総当たりのリーグ戦を行ったなかでなでしこは3位に終わり、2枠しかないアジア大陸の出場権を逃した。

 オーストラリアとの初戦で完敗を喫したなでしこは、続く韓国戦も1-1で引き分け、崩れたリズムを立て直せないまま中国との第3戦でも1-2で敗れた。ベトナム戦と北朝鮮戦には勝利したものの、時すでに遅し。2位の中国に勝ち点で4ポイントも引き離される惨敗で最終予選を終えた。

 当時を戦ったメンバーで、いま現在もなでしこに名を連ねているのは山下と、2011年の女子ワールドカップ制覇、2012年のロンドン五輪銀メダルを経験しているDF熊谷紗希だけ。第3キーパーとして招集されていた当時20歳の山下は、6-1で大勝したベトナム戦で唯一出場されていた。

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