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日本代表 2か月前

明白な得意と不得意。U-23はサッカー日本代表と酷似。なぜウクライナ戦がアジア予選の参考にならないのか【西部の目】

シリーズ:コラム text by 西部謙司

好都合だったウクライナ。なぜ“あまり参考にならない”のか



 日本代表の最大の強みであるプレッシングをいかに回避するか。イラク代表とイラン代表はAFCアジアカップカタール2023でそのサンプルを提示した。プレスされる前に前線へロングボールを蹴り出し、そのセカンドボールを拾うべくプレスをかける。バウンドするボールの奪い合いでは、日本のパスワークにかわされる心配はあまりない。

 U-23日本代表のプレースタイルは、あまりにも日本代表と似ている。日本代表に効果のあった戦い方はU-23日本代表にも通用すると対戦相手は考えるだろう。

 U-23ウクライナ代表は終始、自陣からビルドアップしようとしていた。後半にGKがじりじりと持ち出しながらロングボールを狙った場面があり、これは有効そうだったがゴールキックのリスタートは最後までショートパスを選択していた。アジア予選でここまでU-23日本代表に好都合なプレーをしてくれる相手はたぶんない。

 U-23マリ代表戦では3失点したが、そのときの高井幸大と西尾隆矢のCBコンビより、無失点に抑えた馬場晴也、鈴木海音のほうがレギュラーポジション獲得に近いかといえば、一概にそうとも言えない。ロングボール対策としては前者のほうが優れているかもしれないからだ。また、スピーディーなプレスよりもセカンドボールの奪い合い、とくにバウンドしたボールをめぐるバトルになることを想定すると、MFの構成もまた変わってかもしれない。

 U-23ウクライナ代表戦は、U-23日本代表らしいプレーをして勝利した。しかし、アジア予選は全く違う性質の試合になることが予想される。日本の長所を発揮しにくい展開になるだろう。その点でU-23ウクライナ代表には快勝したものの、この試合のメンバーが決定版になるとはかぎらず、アジア予選を想定するとあまり参考にならない試合だったかもしれない。

(文:西部謙司)

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【了】

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