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日本代表 2か月前

U-23日本代表、田中聡は“湘南スタイル”で世界へ。挫折と努力の先の念願ゴール。生き残りへ「失うものはない」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by NN

田中聡は「本当にみんなと仲がいい、素晴らしい選手」



「いや、テンションがもうぶち上がっちゃっていました。(田中とは)仲もいいですし、彼が決めてくれたのは自分としても嬉しくて。チームでもムードメーカーというか、そんなに数多くしゃべるタイプではないですけど、本当にみんなと仲がいい、素晴らしい選手なので。いや、ホントに恥ずかしいですけど」

 気がついたときにはキスによる祝福を繰り返されていた田中は、どのような心境だったのか。苦笑しながら「いや……ちょっときついですね」とまず切り出した。さらに、キスされたあたりを右手で拭いていたように見えた、と問われると、しどろもどろになりながら必死に言葉を紡いでいる。

「いや、覚えていない。もう無意識で。多分、拭いていたかな……よくわかりません」

 もしかすると、田中本人は自覚していないかもしれない。それでも、U-23代表で周囲から愛され、そして周囲を癒すキャラクターが誰なのかが、ほのぼのとした笑いの渦から伝わってきた。

 パリ五輪でのメダル獲りを目指す大岩ジャパンの初陣だった、2022年3月のドバイカップ初戦、対U-23クロアチア代表で先発を果たしてから通算8試合目。田中が待ち焦がれた初ゴールはチームとして追い求めてきた形と、所属する湘南ベルマーレで実践するプレーが融合した末に生まれた。

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