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Jリーグ 1か月前

「末恐ろしい36歳だなと」清水エスパルスを救った乾貴士の一瞬の“判断”。高速ドリブル中に考えていたこととは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

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清水エスパルスは7日、明治安田J2リーグ第30節でV・ファーレン長崎と対戦し、1-1のドローに終わった。前半に先制される苦しい展開の中、清水を救ったのは元日本代表の乾貴士だった。ルーカス・ブラガへのアシストに繋がる高速ドリブルを仕掛けていた中で、36歳の頭の中にはどのような考えがあったのだろうか。(取材・文:藤江直人)

同点直前までゴールの予感はなかった

清水エスパルスのMF乾貴士
【写真:Getty Images】

 あえて一直線ではなく右斜め前へ、清水エスパルスのMF乾貴士は意図的に進んでいった。相手ゴールが近づいてくるたびに、ホームのIAIスタジアム日本平へ駆けつけたファン・サポーターの声援が大きくなる。高速ドリブルによるカウンターを発動させながら、36歳のベテランは心憎いほど冷静沈着だった。

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 3位で追ってくるV・ファーレン長崎と対峙した7日のJ2リーグ第30節。前半に喫した失点を取り戻せないまま、エンドが変わった直後の50分に清水が1-1に追いついた場面。MFルーカス・ブラガの一撃が決まる10秒前の時点で、ゴールの予感はまったくといっていいほど漂っていなかった。

 このとき、ボールは清水陣内の奥深い場所にあった。自分たちのペナルティーエリアの左側。DF山原怜音がこぼれ球を前へ蹴り出すと、ボールは長崎のMF安部大晴がとっさに繰り出した右足をかすめてコースを変えて、自陣の中央にいた乾のもとへとわたった。元日本代表は迷わずにドリブルを選択した。

「ボールを前に運んでいくイメージは、トラップした瞬間から自分のなかにありました。自分がフリーなのはわかっていたし、前方には大きなスペースも見えていたので」

 攻撃に傾倒していた分だけ、長崎の陣形は整っていなかった。それでも枚数はそろっている。2人のセンターバック、田中隼人と照山颯人が必死に戻りながらドリブルを加速させてくる乾に対応し、左側をフォローしてきた清水のFW北川航也には、右サイドバックの増山朝陽がこちらも戻りながら対応している。

 しかし、反対側の右側には長崎の選手が誰もいない。左サイドバックの米田隼也がオーバーラップし、ポッカリと空いていたスペースにチャンスの匂いを嗅ぎとったブラガも、全力で乾をフォローしていった。今シーズンにブラジルのサントスから期限付き移籍で加わった、27歳のアタッカーが振り返る。

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