徳元とは正反対の指揮官「マジで怖いぞ」
「よかったり悪かったりで。今日は言うことなしですけど、たまたまよかったんじゃないかな、と」
2シーズン目を迎えていたFC東京で、リーグ戦で11試合、495分の出場にとどまり、ルヴァンカップと天皇杯ではともに敗退していた8月15日に、名古屋への期限付き移籍が発表された。
「話をいただいてすごくうれしかったし、この半年間が今後のサッカー人生で僕を変えると思って決めました。ウイングバックでプレーするのは初めてですけど、いままでの経験と悔しさを表現できていると思う」
シーズン中に所属クラブを変える決断をこう振り返った徳元へ、長谷川監督がFC東京を率いた2018シーズン以降の約4年間を知る仲間たちは、異口同音にこんな予備知識を与えてくれた。
「マジで怖いぞ」
自他ともに認める陽気で気さくなキャラクターを介して、名古屋には合流初日に溶け込んだ。FW山岸祐也も「いじりやすかったし、初日からいじりました」と徳元が加入した当時を思い出す。
「明るくて、それでいてちょっと抜けているような感じなので。僕たちがいじって、トク(徳元)もいじり返してくる感じで、すぐにチームに馴染んでいました」
コミュニケーションツールと化してひさしい、自身のキャラクターを徳元もこう語る。
「人が寄ってきやすいというか、笑顔が周囲を安心させていると思っています」
もっとも、新天地に合流して間もなく、徳元は長谷川監督の“怖さ”を間近で経験している。日々の練習がセットプレーのメニューに移り、特にコーナーキック時になると指揮官がキッカーの間近に立つ。
「距離にして5メートルほどですね。キッカーのじゃまにならないところに立って、ジッと見てきて。すごくプレッシャーを感じるというか、ある意味で試合よりも緊張する状況を作ってもらっています」
徳元が苦笑いしながら、長谷川監督からときどきかけられる言葉を再現した。