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Jリーグ 2週間前

「夢にも思っていなかった」ファジアーノ岡山、岩渕弘人が大黒柱になった理由。JFL時代から「変わっていない」こと【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「今年試合に出られた要因」とは?

「やっぱり守備を頑張るっていうのが自分のよさだと思うし、今年試合に出られた要因かなと。『今、点を取ってるから守備をサボろう』とかは全くないし、しっかり謙虚に貪欲にやり続けたい。それはJFLにいた頃から変わっていません」と彼はキッパリと言う。

 苦労して這い上がってきた27歳のアタッカーは、つねに自らの原点を忘れずにピッチに立っているのである。

 こういうアグレッシブな人材が攻撃陣をリードしている岡山には今、凄まじい勢いが感じられる。残された2戦の相手はJ2残留が決まった藤枝MYFCとJ3降格の憂き目に遭った鹿児島ユナイテッド。その両者に連勝して、勢いをつけてプレーオフに突き進むしかない。

 岡山の歴史をひも解くと、2016年と2022年に2度プレーオフに進出。前者は岩政大樹らを擁して決勝まで勝ち上がったが、セレッソ大阪に苦杯を喫した。後者は1回戦でモンテディオ山形に敗戦。まだ見ぬ最高峰リーグへの渇望は他チームよりも強いのだ。

 岩渕にしてみれば、J1の舞台にたどり着くことができれば、仙台大学時代にコンビを組んでいた松尾佑介(浦和)と同じ土俵に立つことができる。松尾もプロのスタートはJ2だった横浜FCで、そこからJ1へステップアップ。さらにはベルギーにも渡るまでになった。

「J1を見る時はいつも浦和をチェックして、松尾が出ているかどうかを確認してます。すごい刺激になっていますね。あいつもいろいろ苦労してると思うけど、試合に出続けることが大事だし、大丈夫だと思います」と彼は盟友の一挙手一投足を自らのエネルギーにしているという。

 来季、同じリーグで顔を合わせるためにも、目の前のJ1昇格チャンスを逃すわけにはいかない。岡山を勝たせるのは、最大の得点源である岩渕以外の何物でもない。

「今はプレーオフを目指して戦えているのを選手としてすごく幸せに感じている。残り2試合、プレーオフに行けるように全力を尽くします」と気合を入れる27歳の点取屋のさらなるブレイクに期待を寄せたいものである。

(取材・文:元川悦子)

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