練習時の後輩との接し方。その姿はまるで…
浦和戦はチームとして難しい展開を強いられたが、神谷がボランチで先発するようになった第3節以降は中央から中央へのグラウンダーの縦パスが増加。ウイングバックを起点としたサイド攻撃を武器にしてきた中で、「中央と外をうまく使い分けるのがベター。中央からの攻める意識も高めることはキャンプの時からイメージしていた。優太はそういうプレーが得意な選手なので、攻撃の幅を広げてほしい」という木山監督のリクエストのもと、背番号33は相手に的を絞らせない攻撃の形を確立させようと奮闘中だ。
「任くんやブチ(岩渕)も足元で受けられる選手で、そこに当てていけば前進できると思う。どんどん中央に入れていけば相手も閉める。そしたらサイドが空いてくる。シャドーの選手はボールを触りたい選手が多いと思うので、そこに預けることは大事かなと思います」
所属する選手の半数以上がJ1初挑戦中のチームであるため、J1で4シーズンプレーした神谷はピッチ内で非常に頼もしい存在だが、その影響力はピッチ外にも及ぶ。
政田サッカー場に行くと、練習メニューとメニューの間で若手にアドバイスを送ったり、全体練習後に後輩と居残り練習をしたりする場面を見ない日はない。その姿は、まるで選手兼コーチ。しかも、田部井涼や藤井海和などボランチの選手に自身の技術や感覚、経験を授けようとしている。
自分と同じポジションの選手の向上を促すことは決して簡単なことではないと思う。ライバルが成長すれば自分の地位を脅かされることにつながるし、サッカー界には均衡している能力の選手が2人いる場合は若い選手が使われやすいという傾向も存在する。
しかし、神谷は自身の損得という小さな問題に固執していない。