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Jリーグ 2か月前

「何度かインタビューをしたけど…」ガンバ大阪デニス・ヒュメットとは何者なのか? 現地記者に訊いた評価と不安材料【コラム】

シリーズ:コラム text by 鈴木肇 photo by Getty Images

ヒュメットへ向けられた懐疑の目「マルメ出身の19歳にとって…」

 トロワに約2年間在籍し、公式戦出場は12試合にとどまった。だがフランスでの経験は無駄ではなかったようだ。ヒュメットはスウェーデンメディア『Nerikes Allehanda』に対してこのように語っている。

「環境はとても良かったよ。フランス語も学ぶことができた。昇格を経験したから1部でもプレーできたしね。マルメ出身の19歳にとってモナコ、マルセイユ、サンテティエンヌといったチームと対戦できたのは決して小さなことではなかった」

 とはいえ、やはりプレー時間が少ないことに対して不満があったようだ。トロワとの契約は2年残っていたが、「若い選手は試合に出るのが大事」という考えのもとフランスを離れる決断を下し、2017年、スウェーデン2部のゲフレ(イェブレ)に加入する。

 ゲフレ(イェブレ)では1シーズンでリーグ戦12得点をマークするなど存在感を示したが、その後のトレレボルグス(トレッレボリ)、エルフスボリ、エーレブルー(エレブロー)では満足の行く結果を残せなかった。2022年にはU-21トルコ代表での活躍がきっかけで同国リーグのチャイクル・リゼスポルにプレーの場を移すが、在籍した1年半で3度の監督交代を経験し、チームは2部に降格するなど不本意な時期を過ごした。

 ヒュメットのキャリアが再び上昇し始めたのは、2023年に在籍したカルマル時代だ。このシーズンでチーム最多タイのリーグ戦9得点をマークすると、その活躍ぶりが認められて翌年は強豪ユールゴーデンに移籍する。ユールゴーデンは当時、点の取れるFWの不在に長らく悩まされていた。そのため、ヒュメットに対してサポーターは懐疑的な目で見ていたという。

 だが、ヒュメットはそんな周囲の不安を一掃する。先述した通りリーグ戦では得点ランキング3位タイとなる14得点をマーク。さらにはUEFAカンファレンスリーグでも予選を含めて12試合で6ゴールを記録するなど、救世主のごとく前線で躍動した。ヒュメットのガンバ行きが決まったあと、ユールゴーデンのスポーツチーフであるボッセ・アンデションは戦力低下を懸念して「売却したくなかった」と心情を吐露している。

 ここまでヒュメットのキャリアを振り返ってきたが、次にプレースタイルを紐解いてみたい。関係者のコメント、地元メディアでのインタビューなどから浮かび上がってくるキーワードは「万能型」だ。

 筆者は、スウェーデンの総合スポーツサイト『Svenskafans』のユールゴーデン専用ページ『Forum 1891』などで筆をふるうエリアス・モルク氏にコンタクトを取った。これまで複数回にわたってヒュメットに取材をした同氏は、こう評している。

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