最大の武器をより活かすためには、「対策を上回る対策」が必要
26分は植村とクルークスにトップ下の角昂志郎を絡めたコンビネーションから植村が右奥に抜け出し、折り返しをクルークスが左足クロスに持ち込むシーンがあった。
しかし、山形のゴール前の守備が固く、ターゲットマンのマテウス・ペイショットや倍井、左サイドバックから上がってきた松原后にうまく合わせることができず、跳ね返された。
ここまで4アシストを記録しているクルークスのクロスは間違いなく、磐田の最大の武器だ。そこにいかに持っていくかというのが得点の鍵になっているが、さらにインサイドを突いていく攻撃がないと、このシーンのように相手に構えて跳ね返されやすくなる。
植村は「しっかり相手が固めてきていた。なかなかクロスでは正直、難しかったなと思います。そういった時こそ、中で崩して行かないといけない」と語る。
確かに前半は山形が追い風を利用したロングボールで磐田ゴールを脅かすシーンがあり、後半もホームのチームらしく勢いを持って攻めてきた。そんな中で磐田は、守備で頑張りながらも、攻撃で相手に脅威を与え続けることができなかった。
左サイドバックの松原が高い位置を取り、植村はセンターバックの2人と一緒に3枚でビルドアップをすることが多いが、逆に言えば植村がいかに機を見て相手陣内の攻撃に関われるかが、攻撃の厚みに繋がってくる。
「リスクを取ってる戦術だと思うんですけど、全員がチャレンジできていると思う。間違いなくシーズン通してミスはあると思いますけど、それをぶれずにやっていけば、個人の技術もそうですし、チームとしてのレベルも上がっていくと思う。そこは全員がビビらずにチャレンジしていければ」
昨シーズンJ1昇格プレーオフにも進出した相手に、アウェイでの勝ち点1という結果は悪くない。しかし、J2優勝を目標とする磐田としてはアウェイでも勝ち点3を狙っていくことが求められる。そのためにはチームとして勇気を持ってゴールを狙う姿勢が大事になるが、植村のアクションはそのトリガーと言えるだろう。
(取材・文:河治良幸)
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