グスタフソンやマテウス・サヴィオ、渡邊凌磨が生きやすい環境
そして、町田戦から最前線に松尾佑介が起用されるようになったことで、一列目で相手のパスコースの制限をしながら追い込んでいく質が上がった。それにより中央から前進されることが減り、サイドに出させた後で苦し紛れのロングボールを蹴らせることで、元より強みだった部分を生かしてボールを回収することができるようになった。
そして、その回収したボールをどのようにして安定させて前線へ供給するかという点において、優れたプレーメーカーであるサミュエル・グスタフソンがスタメンに固定されるようになった効果は非常に大きい。そして、左右のサイドバックが石原広教と長沼洋一に代わったことで、マイボールの前進は安定するようになった。また、特に石原は守備時にサイドの局面で本職らしい強さも見せ、石原と金子拓郎が縦に並び、安居海渡も内側を埋める右サイドはかなり強固なブロックが形成されている。
また最前線の選手が、一度ボールを受けることを好み、相手を連れて下がってきてしまう傾向のあるチアゴ・サンタナから、背後へ抜ける動きで相手の最終ラインを押し下げる松尾に変化したことで中盤が広くなり、グスタフソンやマテウス・サヴィオ、渡邊凌磨の能力が生きやすい環境ができてきた。
シーズン序盤はチームが作った陣形の先頭に早くボールを入れて全体が追いかけていくような攻撃が多かったが、今は陣形の内側にボールを入れて運んでいくような攻撃が増えている。それにより、攻撃の厚みが増して奪い返しのプレスが機能する場面も増えてきた。
荻原拓也やサンタナが外れたことで、攻撃面で言えばアーリークロスやハイボールという選択肢は減った。一方で、スコルジャ監督が開幕以来「よりよいセットアップを探している」という表現をしてきた中では、現状のラインアップで最善の組み合わせを見つけたというニュアンスで捉えることができるだろう。