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Jリーグ 1か月前

「みんな、しんどかった」山本悠樹の目元はうるんでいた。ACLEで見た川崎フロンターレの「あるべき姿」【現地取材コラム】

シリーズ:コラム text by 江藤高志 photo by KAWASAKI FRONTALE

「それぞれの葛藤の中で…」山本悠樹が見たチームの姿

「あの時の疎外感とか、あと本当にあの景色というか。素晴らしいスタジアムでしたし、完全アウェイで。何か、忘れないだろうなと思います、今後」

 心に刻むためにその表彰式を「ずっと見ていました」と話す山本の言葉が詰まったのは、3試合を終えたチームや自らについての質問に答え始めた時のことだった。

「Jリーグもすごい連戦で来て、アウェイの中で、多分みんな、しんどかったと思いますし、それを一つ一つの勝利で乗り越えて来た感じはしたので」

 そんな言葉を口にしつつ、濃密だったジェッダでの日々が脳裏を駆け巡ったのかもしれない。少しだけ声のトーンを変えた山本はうっすらと目元をうるませて「そうですね、あまり試合に負けて、こういう感じになることはないんですけど。悔しいなと思います」と声を絞った。

 その山本は冷徹なJリーグの現実にも目を向けて「このメンバーで、ここに来ることも、もうないだろうし」と発言。

「試合に出てる選手はたぶん、やるぞという思いだけだと思いますけど、来ても出れない人とか。ベンチに入っているけど出れない人がいたり。それぞれの葛藤の中で、多分チームのタイトルに対して、不満や不平が多分、あるだろうけど。それをグッとこらえてやってくれた選手が多々いると思うので。それが多分、チームのあるべき姿だと思いますし、そういう人たちに対する感謝をしないといけない」と、チームとして戦ってきたチームメイトに感謝の言葉を述べていた。

 そして、最後勝ちに持っていけなかった自らの力の無さを謝罪した。

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