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Jリーグ 2か月前

「成長している部分は褒めます。でも…」鹿島アントラーズは何が変わったのか? 鬼木達監督が植え付ける最優先事項【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

「少しずつ理解していってくれている」鬼木達監督が感じる手応え

 開幕節で湘南ベルマーレに敗れた鹿島は、続く東京ヴェルディ戦から3連勝を記録した。続く柏レイソル戦も2点を先行する良い展開だったが、57分に1点を返されてしまう。


 リカルド・ロドリゲス監督は2枚替えを行い、柏は[3-1-4-2]から[3-4-2-1]にスイッチ。渡井理己と小泉佳穂の2シャドーで打開しようという意図が透けて見えたが、間髪入れずに鬼木監督が動く。

「憎い采配だな」

 そう思わず呟きたくなる。鹿島は柴崎岳を下げて知念慶を投入し、柏の狙いを封じた。柴崎ほどの実績があっても、鹿島というチームの中では勝利のために戦う選手の1人だということを強く認識させたワンシーンだった。

 柴崎だけではなく、レオ・セアラも鈴木優磨も足が止まれば躊躇せずに交代カードを切る。監督自身の勝利への執念は、確実に選手にも伝わっている。

「守備=面倒くさい、辛いではない。守備は勝利に貢献できる手段だと選手に理解してもらうことが重要なので」

 派手なハイプレスや数字に残るタックルもそれに含まれるが、注目すべきは姿勢と意図。チャヴリッチが体を張り、荒木遼太郎はボールホルダーに寄せる。すべての選手が守備を自分ごととして捉えている。

「守備でもリズムを作れるっていうところを少しずつ理解していってくれている」

 守備への意識を浸透させるために、鬼木監督は「ちゃんと見ている」。ピッチ外では映像を活用し、指摘すべきプレーにははっきり「できていない」と言う。その一方で、見逃されそうな地味な貢献には「よく見ているぞ」と伝える。「褒める」こともそうだが、「ちゃんと見ている」ことで、その重要性が選手に伝わり、選手たちのモチベーションになっている。

 たとえば荒木遼太郎は、FC町田ゼルビア戦後にこう話している。

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