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Jリーグ 6か月前

長谷部茂利監督の優秀さがわかる。川崎フロンターレ、最も大きな変化は「拒否反応」の有無【戦術分析コラム(1)】

シリーズ:コラム text by らいかーると photo by Getty Images

「しっかりと成功している証拠」変わったことと変わらないこと

 現在の川崎はボール保持にこだわることなく、どちらかといえば、相手がボールを保持する状況を自分たちのプレッシングでコントロールすることで、試合の流れを持ってこようとしているくらいだ。よって、試合の状況、スコアの変化や時間の経過に対して、素直にプレーすることが多い。リードされれば、ボールを持って攻撃を仕掛けるし、リードすれば、相手にボールを持たせて時間を過ごそうとする。

 川崎の試合のデータで興味深い数字はパス成功率だ。ボール保持率は試合展開によって変化するので、あまり参考にならない。もちろん、「どんなときでもボールを保持する!」というチームにはボール保持率は少し大事な指標となる。

 ボール保持が低くてもパス成功率が高い場合は、自分たちがボールを持って試合を進める意志があるときにしっかりと成功している証拠になることがあるからだ。この転換も言うは易く行うは難しである。

 自分たちがプレッシングで試合をコントロールしていたが、相手のセットプレーでやられ、今度はボールを保持する展開にしなければならない。このときに「大丈夫です、ボールを持つことも問題ありません!」と、スタイルを変化させて戦えるチームは少ない。川崎の場合はボール非保持の振る舞いが洗練されてきている一方で、ボール保持を大切にしている点は変わっていない。

(文:らいかーると)

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【了】

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