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Jリーグ 1週間前

「時代じゃないんですかね」山本悠樹の悲しそうな顔が忘れられない。川崎フロンターレで悩み、涙し、そして今放つ輝き【コラム】

シリーズ:コラム text by 菊地正典 photo by Getty Images

「77」→「6」。真っ先に浮かんだ2人の背番号6

 背番号にこだわりはない。草津東高校時代には10番を背負い続けたが、いまも10番を付けたいというわけではない。

 関西学院大学とガンバ大阪で付け続けた29番も、関西学院大学で最初にもらった番号を4年次に変える機会はあったものの「いまさら変えても」と思って付け続け、ガンバでもそのまま継続したという程度だ。

 川崎加入時には多くの番号が埋まっていたこともあったが、77番を選んだ。中学時代、SAGAWA SHIGA FCのジュニアユースでは7番を背負っていたが、それよりもラッキーセブン。

「なんとなくいいことがありそう」

 深い意味はなく、軽い理由だった。

「でも、去年はいろいろ大変だったし、ちょっと気持ちを変えようかな」

 そう思っていた矢先にクラブから提案されたのが6番だった。一桁の番号を付けたいとは思っていた。代理人から「守田(英正)くんも付けていたしね」と言われ、イメージがいいと思ったこともある。

 だが、真っ先に浮かんだのはシャビ・エルナンデスとアンドレス・イニエスタの2人。かつて憧れていた2人が、バルセロナではシャビ、スペイン代表ではイニエスタとそれぞれ交換して付けていた番号だ。

 かつて憧れた選手たち。彼らのようになりたいと思い、技術を磨いてきた。まだあの時代が来るのかは分からない。それでも、一度しぼみかけた山本の武器と意思は、再び開き始めている。

「まだまだかなとは思いますけど、いい歩みは進めていると思います」

 そう話す山本の笑顔には、一点の曇りもなかった。

(取材・文:菊地正典)

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【了】

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