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Jリーグ 1週間前

「それでも目指したい」セレッソ大阪GKが感じた10年前の衝撃。福井光輝は今も自宅に西川周作のユニフォームを飾る【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

運命が2人を引き寄せた「ジンさんへのリスペクトの思いも常に忘れずに」

 体調を崩し、練習を2日間休んでいたジンヒョンに代えて、アーサー・パパス監督は福井を先発に指名した。ホームのヨドコウ桜スタジアムに迎えた相手は浦和。福井は運命を感じずにはいられなかった。

「目標にしてきた周作さんと、初めて同じピッチに立てたので。小さなころから周作さんのプレーをずっと見ていましたし、プロになってもDAZNなどでずっと追いかけてきましたけど、セレッソでのデビュー戦では気負わずに自分のプレーができましたし、それがいまにつながっていると思っています」

 試合終盤に浦和が同点ゴールを決めた試合は1-1で引き分けた。それでも日々の練習に打ち込む福井を称賛していたパパス監督のなかで、ジンヒョンを先発に戻す選択肢がなくなった。ただ、現時点で12試合にわたってセレッソの先発を担っても、自分が貫く姿勢は何も変わっていないと福井が言う。

「それが僕自身の成長にもつながりますし、キーパーとしての幅も広がりますし、何よりもチームメイトがいて僕が成り立っているので。そこは謙虚な気持ちと感謝の思いを、もちろんジンさん(ジンヒョン)へのリスペクトの思いも常に忘れずに、セレッソのゴールマウスを守らせていただいています」

 そして、5月下旬の段階で早くも2度目の対戦となった浦和を零封した。10年前の出会いを覚えている西川からは、試合後に「ナイスキーパー!」と称賛された。憧れの存在と同じ舞台で邂逅するまでの長い時間で決して腐らず、目の前のすべてを成長への糧に変えてきた福井がここまでのキャリアを振り返る。

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