フットボールチャンネル

Jリーグ 1か月前

「それまでの何かを捨てなきゃいけない」。横浜F・マリノスのため、飯倉大樹が「次の世代へ伝えていく」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「それまでの何かを捨てなきゃいけない」「アンジェが来たときもそうだけど…」

「ひとつだけ『これだ』というのはすごく難しい。脈々と紡がれてきたマリノスというものを、シゲさんたちが長く背負ってきたものを、今度はテツくん(榎本コーチ)や俺が次の世代へ伝えていく。言葉にするとすごくアンニュイになるけど、マリノスが好きだ、マリノスのために、というものをつなげていけたら」

 松永さんとともに、壁を乗り越えてもきた。アンジェ・ポステコグルー監督が就任した2018シーズン。リスクと表裏一体になったハイライン戦法のもと、後方の広大なスペースをカバーした飯倉は、1試合の総走行距離が7kmを超えるキーパーとして脚光を浴び、一方で代償を支払う形で失点もかさんだ。

「アンジェ(・ポステコグルー監督)が来たときもそうだけど、新しい何かが起きるときには、それまでの何かを捨てなきゃいけない。別にシゲさんを捨てるとか、そういった意味ではなくて、何かが変わることで新たに進んでいける。そのときには寂しさも含めた痛みを伴う。かつては堅守を武器していたはずのマリノスが、アタッキングフットボールと呼ばれる転換期というか、新しいサイクルを迎えたわけですからね」

 今季は開幕から未曾有の不振にあえぎ、リーグ最下位に低迷しているマリノスも新たな道へ進もうとしている。アタッキングフットボールをかなぐり捨て、キーパーや最終ラインからロングボールを供給。手数をかけずに相手ゴールへ迫っていく。その過程で松永さんが辞任した。師匠とはまだ言葉をかわしていないと飯倉が言う。

1 2 3 4 5

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!