「一気に減っていくんで複雑です」香川真司が注文を付けたのは…
その直後に田中駿汰が見事なインターセプトと中盤からの逆転弾を叩き出したことで、競争激化の様相が一段と強まった。パパス監督は「中盤の選手層が厚くなり、いい競争ができるのはポジティブだ」と前向きに語ったが、普通に考えれば、今後は田中駿汰を主軸に戻す公算が大きいだろう。
となると、ボランチの相棒は香川か喜田陽ということになる。田中駿汰と香川だと攻撃的な色合いが強まるが、守備のリスクがやや上がる。かといって、喜田をメインに据えて、香川をずっとベンチに置いておくわけにもいかない。超過密日程もいったんここで区切りとなり、今後は試合間隔が空いていく。そういった要素を含め、香川はここから新たな壁を乗り越える必要に迫られそうだ。
「誰が出るかは俺が決めることじゃないんでね。もちろん駿汰の復帰はチームにとって大きなプラスになる。自分としては毎日しっかりとやり続けるだけ。いい準備をしたいです。
ただ、残念なのは試合数が減っていくこと。去年も一昨年もそうだけど、8・9・10月と一気に減っていくんで複雑です。ちゃんとスケジュールを組んでほしいですね…」と背番号8は注文を付けていた。いずれにせよ、昨季のようなシーズン後半の出番激減だけは絶対に回避しなければならないのだ。
実際、香川がピッチを去ってからのセレッソは終盤のゲームコントロールがうまくいかず、2−2に追いつかれた。彼が前半終了間際にゴール前で森重真人に引っかけられ、PKを得てもおかしくなかった場面を含め、セレッソには勝ち切れるチャンスはあった。それをモノにし切れない”勝負弱さ”がこのチームの前々からの課題だ。
背番号8は「勝者のメンタリティを身に着けないといけない」と口を酸っぱくして言い続けているが、それをピッチで率先してやっていくのが自身に課された重要なタスク。それを遂行するためにも、まずは定位置争いを制することがマストなのだ。
同じ北京五輪世代の盟友・森重がこの日J1・500試合出場の節目を迎え、長友もベンチに入っていた。他を見ても同学年の乾貴士がフル稼働している。そういった仲間たちと切磋琢磨しながら、香川真司はもっともっと大きなインパクトを残すべき。”セレッソの勝利請負人”として異彩を放ってほしいものである。
(取材・文:元川悦子)
【関連記事】
新生・セレッソ大阪の顔となれるか。2人のアカデミー出身が挑む勝負の年。その背景には伝統の背番号「8」への想いが【コラム】
「今日は入らん日や…」セレッソ大阪、19歳・髙橋仁胡が見せたクオリティーと恐れなしの度胸。「絶対聞かなあかん」【コラム】
【最新順位表】2025明治安田J1リーグ