クラブW杯でチャレンジャーとして戦う一方Jリーグでは…
そして、ラスト2試合ではサヴィオを中央に配置して渡邊凌磨を左サイドに固定した。これらは全て「クラブW杯を見据えたもの」(スコルジャ監督)という言葉に集約された。
それだけに、5月からの8試合で浦和がピッチ上で見せたものは、目の前の試合の勝利、あるいはリーグ戦で優勝を目指すという目標に対して100%をぶつけたのかという点に疑問符が付く。それだけに、この期間の8試合で勝ち点12という成績を「失速した」と見るのか「これで乗り切った」と見るのかは難しい。
ただし、21試合終了時点での勝ち点34は優勝ラインの目安と言われる試合数の2倍から遠く離れ、後半戦で常勝レベルの成績を残す相当なペースアップを求められるものになった。消化試合数の多さからくる暫定3位というポジションだけに、優勝争いの真っただ中にいる感覚はないだろう。
いずれにしても、町田戦前の9試合で勝ち点10だった低調なスタートが大きく尾を引いているのは間違いない。この時期の戦術整備の遅れや、プレシーズンで定めた選手起用の方針が正しかったのか否かといった問題は、シーズン全体を俯瞰した時に大きなマイナスポイントになるだろう。
そして、クラブW杯では世界的な強豪クラブを相手に、ローブロックになろうとも耐えて守って1回のチャンスを狙うような試合展開になると予想される。
しかし、優勝を目指す場合にリーグの後半戦で求められるものは、少々のリスクを背負ってでも勝ち点3を奪いにいくチームの姿だ。渡邊やサヴィオの起用法、プレスの設定位置、ポゼッション時の戦術はJリーグ仕様に切り替える必要がある。
そして、夏の登録ウインドーでクラブがどのような補強をするかも重要ポイントであり、いかにグスタフソンを負傷離脱させずシーズン終盤まで戦わせられるかといった要素もカギを握るだろう。
そして、ホーム11試合で勝ち点25を稼いだ一方で、アウェイ10試合で勝ち点9だったアンバランスさは改善が必要だ。必ずしもピッチ上に明確な理由を見つけられない事象ではあるものの、特に過半数の6試合が引き分けだったことは勝ち点の伸び悩みを生んだ。様々な意味で、「負けないチーム」から「勝つチーム」に変貌する必要性があると言えるだろう。
(取材・文:編集部)
【関連記事】
優勝候補はどこだ! FIFAクラブワールドカップ2025戦力値ランキング。最も力があるのは?
浦和レッズ4連勝の裏に「リスクのある選択」。パターン化で失う安定感が今後の課題に【戦術分析コラム】
浦和レッズは何を変えたのか。ときどき出るグスタフソンからの啓示。構造的な弱点は解消された【戦術分析コラム】