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Jリーグ 6か月前

「自分みたいな選手が…」その悔しさが溝口修平を成長させる。鹿島アントラーズの21歳は前半交代をどう受け止めたか【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「特に話はなかったですけど…」。安西幸輝の離脱で巡ってきたチャンスに「負けられない」

「(監督から)特に話はなかったですけど……映像を見返してみないとわからないです」

 鹿島のアカデミーからトップチームへ昇格して4シーズン目。左利きの左サイドバックとして、年代別の日本代表に名を連ねてきたホープは、岩政大樹監督(現・北海道コンサドーレ札幌監督)に率いられた2023シーズンにJ1デビュー。左サイドバックとして4試合に先発するなどチャンスをつかみかけた。

 しかし、同年9月末の練習中に左膝の内側側副靱帯を損傷する大怪我を負って戦線離脱。公式戦に出場するどころか、ベンチ入りすら一度も果たせないまま終えた昨シーズンをへて、鬼木監督が就任した今シーズンはサイドハーフとして公式戦4試合に出場。プレーの幅を広げかけた矢先に状況が大きく変わった。

 リーグ戦で19試合に先発するなど、不動の左サイドバックとして鹿島を支えてきた安西幸輝が、5月31日のガンバ大阪戦で左膝前十字靱帯損傷の大怪我を負った。全治期間などの詳細は明かされていないものの、長期離脱が不可避となった状況で、鹿島はシントトロイデンから小川を急きょ獲得した。

 もっとも、安西が離脱した後の公式戦で、左サイドバックに指名されたのは溝口だった。11日のザスパ群馬との天皇杯2回戦で先発を果たすと、中2日で迎えた14日のサンフレッチェ広島との第20節でも先発。0-1とリードされて迎えた79分に、小川と交代するまでプレーした。

 安西の離脱を受けて、溝口は「自分がやらなきゃいけない」と気持ちを奮い立たせた。さらに公式戦のピッチに続けて立った溝口のなかで、プロアスリートならば誰もが抱く思いも頭をもたげてきた。

「広島戦では目の前の相手と戦いながら、スタメンを取り続けたい、という気持ちもありました。その意味でももうひとつ結果を残すなどして、チームを試合に勝たせようという思いもありました」

 溝口が交代した後の後半アディショナルタイムにレオ・セアラのゴールで追いつき、引き分けた広島戦から中6日で迎えた町田戦。三度チャンスを得ながらハーフタイムで退いた溝口は、今後は激しくなってくる小川らとの先発争いへ「負けられない、と思っています」と気持ちを新たにしながらこう続けた。

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