最下位でも…光明は確実にあった。「この経験が生きる場面も今後必ずある」
今季は少ないチャンスを確実にモノにして、ここまでチームトップの5得点を挙げている。この場面では力みが先行したものの、試合に懸ける意気込みの強さとも言い表すことができるだろう。
試合は0-1の敗戦に終わった。それでもシュート17本を放ち、ボールポゼッションでも優位に立った。攻撃から守備への切り替えの早さを基軸としたプレスは優勝争いを演じていた時期を彷彿とさせ、常に前方向へプレーする意識付けも浸透していた。
最下位に沈む厳しい状況は変わらない。ただし、光明は確実にあった。選手たちは総じてポジティブなコメントを残し、遠野もその1人だ。
「チームとして次につながる試合だったし、自分自身はもっともっと脅威になれるはず。今日は僕が中央をプレーエリアにした時のプレーを見せられたかなと思う。惜しいで終わってはいけないけれど、ブレずにやり続けて自分たちの良さを出せる時間帯は結構あった。だからこそ、もっとクオリティを上げたい」
マリノスがようやく取り戻したスタンダードは、背番号9にとっても居心地の良いものに違いない。だから加入前はまったく想像していなかった現状でも、当事者としての歩みに迷いはない。
泣いても笑っても、残り18試合。生き残りをかけた本当の戦いに向けて、言葉に力を込めた。
「とても難しい時期を過ごしていると思う。でも短いサッカー人生なので、この経験が生きる場面も今後必ずある。まだまだ試合は続くから、前を向いてやっていきたい。目の前の1試合1試合を勝って、絶対に巻き返していく。ここでプレーしているからには必ず残留させる」
遠野大弥が3トップの陰に隠れることなく輝きを放った時、J1残留への道が開けてくる。
(取材・文:藤井雅彦)
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