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Jリーグ 5か月前

「解放された感じ」試合を変える天野純のクオリティー。「軌道だけを考えて…」横浜F・マリノスで描いた青写真【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「まるで魔法がかかったような…」

「彼は視野がものすごく広いので、必ず自分の動きを見てくれていると信じて走り出していました」

 オフサイドにならないタイミングで縦へ、湘南のDF鈴木雄斗を置き去りにしながらエウベルが走っていった先に、天野のピンポイントパスがワンバウンドして弾む。マリノス戦がリーグ戦デビューだった湘南のGK真田幸太が、ピンチだと判断して猛然とダッシュ。ペナルティーエリアを飛び出した直後だった。

 頭でボールをクリアしようとした真田よりも先に、スピードに乗ったエウベルが頭でボールにタッチ。真田をかわしてそのままペナルティーエリア内の右へと進み、必死に追走してきたMF藤井智也よりも先に右足をボールにヒット。無人と化していた湘南ゴールへ、待望の今シーズン初ゴールを流し込んだ。

「(大島秀夫)監督は口を酸っぱくして、裏への抜け出しを要求していた。それがしっかりと結果に結びついたのも、まるで魔法がかかったような、天野選手の質の高いピンポイントパスのおかけだ」

 マリノスは3-0で勝利した5月31日のFC町田ゼルビア戦、後半アディショナルタイムにあげたオウンゴールを最後に、公式戦で4試合続けて得点を奪えないまま湘南戦を迎えていた。

 当然のようにJFLのラインメール青森との天皇杯2回戦、さらにリーグ戦のアルビレックス新潟、ファジアーノ岡山、そしてFC東京と4連敗。新潟戦後にパトリック・キスノーボ前監督が解任され、大島秀夫ヘッドコーチが暫定監督をへて、25日のFC東京戦から正式に監督へ昇格して指揮を執っている。

 大島新監督は岡山戦から、今シーズンは一度も先発でそろい踏みしていなかったブラジル人トリオ、左からエウベル、アンデルソン・ロペス、ヤン・マテウスを最前線で起用。さらにトリオの後方には、FC東京戦に続いて天野を起用した。特にエウベルと天野を起用した意図を、湘南戦後にこう振り返っている。

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