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Jリーグ 5か月前

「メンタル的に少し垢抜けた」チームメイトが感じるファジアーノ岡山、工藤孝太の変化。「少しずつ殻を破りながら」【コラム】

シリーズ:コラム text by 難波拓未 photo by Getty Images

鹿島アントラーズを相手に工藤孝太が見せた対応

「前回の対戦では、チームの足を引っ張ってしまい、すごく悔しい思いをした。今日は『絶対に取り返したい』っていう思いがありました」

 その言葉通り怯むことなく、首位を走る鹿島の強力な攻撃陣を迎撃した。工藤が担当する左サイド(鹿島の右サイド)は、レオ・セアラ、鈴木優磨、小池龍太がローテーションを仕掛けてきた。相手の立ち位置が目まぐるしく変化することで、自分のマークはハッキリしにくい。

 味方選手との受け渡しも発生するため、うまく連係が取れなければ、相手複数人を同時にフリーにさせてしまう危険性もある。それぞれのマークを明確にするマンツーマンディフェンス時に、チームも工藤もタイトな守備を発揮できるからこそ、相性が良いとは言えなかった。それでも、工藤は落ち着いて相手の攻撃を把握し、対応していく。

「相手が頻繁にローテーションをしてきたので、中に入ってきた選手をどう捕まえるか。特に左サイドは話をしながらやっていました。僕が下がる相手に行ける時は強く行きましたし、無理な時は(江坂)任君や(佐藤)龍之介を内側に動かして、できるだけ外に追い出すことはできたと思う。レオ・セアラ選手に何回か背後に走られたけど、(田上)大地くんがすごく良い対応をしてくれたので、そこまで怖さはなかったです」

 18分に鈴木の抜け出しによりマークのズレを作られて先制点を許したが、得点ランク首位のレオ・セアラには厳しく寄せた。足元でボールを受ける時は、強くチャージして、簡単に前を向かせない。空中で競り合う時は、助走をつけて高く飛び、力強く跳ね返す。

 31分には濃野公人からの縦パスを鋭い出足でカットし、そのまま江坂への縦パスにする。その直後にも相手陣内でターンも止めた。さらに42分、右サイドに流れて蹴り込んできたクロスをヘディングで弾き出した。

 前に出て潰しに行く守備とボックス内で粘り強く跳ね返す守備で、最小失点に抑え続けると、後半開始早々の50分に江坂が同点ゴールを決めた。そして59分、前への意識を攻撃面でも発揮。それが逆転ゴールの呼び水となる。

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