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Jリーグ 5か月前

「メンタル的に少し垢抜けた」チームメイトが感じるファジアーノ岡山、工藤孝太の変化。「少しずつ殻を破りながら」【コラム】

シリーズ:コラム text by 難波拓未 photo by Getty Images

逆転ゴールを生んだ工藤孝太の意識。そのルーツは…

 田上からのパスを受けると、斜め前の佐藤に左足でパスを送る。後ろでサポートしてもう一度ボールを預かり、神谷優太と佐藤とのパス交換で相手を動かす。そこから小池がプレスを仕掛けてきたが、工藤はライン際をするりと持ち運び、半歩ほど前に出ると、縦パスを出す。

 これを江坂がフリックし、抜け出した佐藤が切れ込み、神谷のゴラッソが生まれた。工藤のボールの出し入れと運ぶドリブルを起点に、鹿島の4選手のプレスを空転させたのだ。

「あの場面では前への意識はありました。任くんが良い形でボールと相手を入れ替わらせて、龍之介にボールが入り、龍之介の強みをあそこで出すことができた。そこからの流れですごいシュートが決まり、逆転ゴールだったのでとてもうれしかった。僕が後ろにボールを下げていたら、たぶんあのシュートはなかったと思うので、これからも前への意識は強気にどんどん出していきたいです」

 “前への意識は”岡山で身につけたものではない。精度の高いロングキックやミドルキックはCBでプレーし始めた中学3年生の時から磨き上げ、工藤自身がこれまでのキャリアで身につけてきた感覚だ。しかし、目の前の相手を剥がしたりボールを持ち運んだりする、動きながら自分が前に出ていくプレーは、岡山に来てから取り入れてきたものである。

「(ケガから復帰して第17節から第19節で先発に戻った鈴木)喜丈くんが攻撃面で僕との違いを出していた。それはやっぱり見習わなければいけないところ。真似していけば、どんどん自分の武器にもなっていくと思ったので、喜丈くんのプレーを参考にしながら取り組んでいます。僕にもロングボールという良さがあるので、喜丈くんとの違いも出しながら向上していきたい」

 お手本にしているのは、単なるスキルアップのためだけではない。生き残っていくために必要だと感じたからだ。

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