「それを自分もやっていかないと、僕の立ち位置はもうない」
「先発から外れた時、喜丈くんが攻撃参加を見せてくれた。それを自分もやっていかないと、僕の立ち位置はもうないと思っていたので。試合に出られている今、どれだけ良いプレーをできるかが本当に大事になってくる。満足せずに続けていきたい」
逆転後は、鹿島が一心不乱に攻めてきた。レオ・セアラ、鈴木、小池に加え、チャヴリッチも流れてくる。工藤がケアしていたローテーション攻撃が勢いを増してきた。
それでも、岡山は守護神を中心に身体を張って応戦。工藤自身も集中してチャレンジ&カバーを続け、72分には縦パスを受けるチャヴリッチに寄せてから、ボックス内に抜け出す鈴木にも付いていきクロスをブロック。84分にも逆サイドからのクロスを、レオ・セアラの前に入ってバックヘッドでクリアした。
最後まで守り抜き、タイムアップの笛が鳴る。それぞれが首位撃破に歓喜を爆発させる中、工藤も両手を強く握り締め、ピッチに向かって吠えた。感情を表に出さない姿を見てきたからこそ、その“らしくない”姿に驚きながらもうれしさが芽生えた。それがチームの雰囲気と完全にマッチしたものだったから。
前半終了間際に自分のクロスが小池に当たってラインを割り相手ボールになった時も激しく審判に抗議していた。
これまで淡々とプレーしてきた21歳の感情表現の変化を、江坂も「最初は『もっと声出せよ』っていう話をずっとしていたので。だけど、今は少しずつ殻を破りながら成長してくれているのかなと思う」と感じ、「(第16節以降の金髪は)俺もだいぶイジりましたけど、メンタル的に少し垢抜けたというか。いいんじゃないかな」と微笑む。
感情を表に出すことの重要性は、工藤自身がJ1で試合経験を積み重ねて気づいたもの。