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Jリーグ 5か月前

「残り2、3分あるから」三竿健斗は松村優太に耳打ちした。鹿島アントラーズを勝利に導く数字に残らない献身【コラム】

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

「本当にチームとして助かるプレー」

 三竿は試合の中で、いかにして自分たちのリズムに持っていくかを常に考え、ピッチ上で実行していた。前述した松村への耳打ちだけではなく、得点直後にキム・テヒョンと言葉を交わしたりと、プレーが止まったときには必ずと言っていいほど三竿はチームメイトとコミュニケーションを取っている。その積み重ねがチームを助けている。

 さらに三竿は、途中出場した選手の働きにも注目する。知念が見せたファウル獲得を「本当にチームとして助かるプレー」と評価する。途中出場の選手がその役割を果たすことで、90分間を通して試合の流れを鹿島が握り続けることができる。まさにチームのために戦う男の視座だ。

 内容では押されながらも、鹿島は勝点3をもぎ取った。三竿は言う。

「(今季は)結局、勝つ試合っていうのは内容が良くない。でも、泥臭くやり続けた結果、勝点3を積み上げてきたチームだと思っている」

 運や偶然だけがもたらした勝利ではない。華やかな得点の陰で、三竿のような選手が積み重ねてきた結果だ。試合に勝つためには、数字では語れない賢さが必要になる。ファウル1つ、間合い1つ、時間の使い方1つ。そうした数字に残らない部分に意識を向けることで、鹿島はまた一歩、優勝へと近づいていく。

(取材・文:加藤健一)

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【了】

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