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Jリーグ 4か月前

「その時のことは忘れて…」序列を落とした樋口雄太の再出発。鹿島アントラーズには「そういう相乗効果もある」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「ベンチメンバーの雰囲気も必ず良くなってくる」

「(ケガをする前は主力ボランチとして試合に出ていた?)その出ていた時のことを忘れてって言うか、1回リセットしてリスタートの気持ちでやることが大事だなと思って、今は取り組んでいます。

 自分が離脱していた間に佑も成長して、すごくいいプレーをしてますし、中盤の一角としてチームを落ち着かせているなと感じます。今はいい競争が生まれているし、練習の中からみんながバチバチやれているのがいいんじゃないかとも思う。出た選手が責任を持って試合でやるべきことを表現していくことが重要ですね」

 神妙な面持ちでこう語る樋口。実際、今の鹿島ボランチ陣のスタメン争いは極めてハイレベルだ。キャプテンであり10番を背負う柴崎岳でさえ、今回のようなビッグマッチに出られないし、2024年Jリーグベストイレブンの知念も途中からの出場だ。ここで突き抜けていくのは並大抵のことではないのだ。

 だからこそ、樋口としては、仮に短い時間の出場だったとしても、2列目とボランチを高いレベルでこなせる柔軟性を前面に押し出し、攻守両面で違いを見せていくしかない。今回のFC東京戦で1つの飛躍のきっかけを得たのではないか。

「僕は前でもプレーしているので、出し手と受け手の気持ちを考えながらパスを出せる。(鈴木優磨に出した)あのシーンもいいタイミングで顔を出すことができたし、前進することができた。ああいったプレーをどんどん増やしていきたいですね。

 いろんな選手が点を取れるようになってきたのはいいことですし、今日は代わった亨介がいい仕事をしてくれた。交代選手が結果を出すことで、ベンチメンバーの雰囲気も必ず良くなってくる。そういう相乗効果もあると思います」

 こう話す樋口は目下、流れを変えるジョーカー的な立ち位置にとどまっているが、1つ1つの地道な積み重ねがスタメン奪回につながるはず。下から成り上がっていく気持ちを強く押し出して、ここからの鹿島を活性化させること。それが背番号14に託された使命なのである。

(取材・文:元川悦子)

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【了】
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