フットボールチャンネル

Jリーグ 4か月前

「3人の関係性はすごく良かった」井上潮音は時間とスペースを生む。ジュビロ磐田で魅力的なフットボールを実現するために【コラム】

シリーズ:コラム text by 河治良幸

「あそこで崩れなかったのが良かった」

「チームみんな結構、足が止まって体力的に厳しそうだったので。僕自身を含めて。自分たちがプレスというよりも、割り切って後ろでブロックを構えようという話はしました」と井上。

 本来の磐田のスタイルとしては不本意なところもあるが、現実に向き合いながら戦い、相手の隙を突いて追加点を狙うというプラン。それが全員での粘り強い守備、そして井上も「あそこで崩れなかったのが良かったと思いますし、あの3点目、あのゴールが大きかった」と語る途中出場の渡邉りょうによる3点目を生んだ。

 この試合、後半途中に前線で精力的な守備と飛び出しを繰り返していたFW佐藤凌我が後半の早い時間に足をつると、センターバックの江﨑巧朗も足をつって、森岡陸に交代した。そして最後は井上の相棒である上原までが倒れ込み、10人のままアディショナルタイムを戦うことになった。

 井上も「ほぼつってましたけど。みんながつって試合が途切れてる時に、なんとか回復してという感じでした」と笑顔を見せた。

 まさしく全員で掴み取ったアウェイの勝利だが、井上の存在感が、ここからの磐田の戦いにも大きな助けになることを印象付けた。ハッチンソン監督が横浜FCのコーチだった当時、指導を受けたことがある井上は、J1で優勝争いをするサンフレッチェ広島から期限付き移籍での加入を決断するときに、指揮官の存在も大きかったようだ。

 磐田で魅力的なフットボールを実現して、昇格に貢献したい。そうした思いで7月に加入してきたが、足首を3回痛めて、なかなかフルで競争に絡むことができていなかった。

 
 その井上が、ようやくスタメンでクオリティの高いパフォーマンスを見せて、大一番での勝利を後押しした。この試合は中盤の主力を担う金子大毅が出場停止という状況だったが、ハイレベルなチーム内競争を重視するハッチンソン監督にとっても、嬉しい悩みを抱えることになりそうだ。

(取材・文:河治良幸)

【関連記事】
あまりにガラガラ…。Jリーグ収容率ワーストランキング1〜5位
Jリーグスタジアム、アクセス悪いランキング1〜10位
【最新順位表】2025明治安田J2リーグ

【了】
1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!