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福西崇史が回想する06年W杯「ヒデとの口論はただの意見交換。マスコミが喧嘩って書いただけ」

text by 原田大輔 photo by Getty Images , Kenzaburo Matsuoka

国内組と海外組、サッカー観の違い

――それほど、海外組と国内組のサッカー観は違ったんですか?

「全然違いましたね。例として挙げるならば、海外で早い展開のサッカーをしているチームならば、ボールを奪ったらすぐに前へボールを出すじゃないですか。それは一方でリスクもあるわけですよ。

 でも、ブラジルのサッカーで育った人間というのは、もちろんゴール、前も狙いますよ。でも、それまでずっとボールを持たれていてやっと自分たちのボールにできたとしたら、まずは保持したいってなるじゃないですか。まずはそれが違いますよね。

 普段から早く前に展開するサッカーをしていたら、奪ったら早く展開しろってなるじゃないですか。でも、僕が取ったらキープする。僕としては、『みんなしんどそうだから、今はキープしようよ』『サイドバック見てみなよ、へろへろだよ』ってなるんですよ。

 典型的な例で言えば、バルセロナとレアル・マドリーはサッカーが全然違いますよね。クリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシが一緒にプレーしたら、ボールを奪った瞬間の判断というのは、絶対的に異なる。それと一緒ですよ」

――まさにサッカー観の違いですね。

「そうです。それをチームとして合わせていかなければならない。これが一番大変でしたね。最初のうちは僕も試合に出られず、稲本(潤一)がケガしたこともあって出場させてもらえるようになったので、当初はそのスタイルに合わせるように努めていましたけど、サッカーは時間によって状況が変わるようにどんどん変わっていく。出場機会が増えることに比例して、もっとチームをよくしようと意見を言うようにもなった」

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