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代表 9年前

日本とは“真逆”。欧州でのアウェイ戦を続ける豪州。新たなアジア王者として確実な成長を遂げる

text by 植松久隆 photo by Getty Images

世界王者ドイツに善戦。あわや「歓喜」の再現も

 豪州国内でも注目を集めたドイツ戦、サッカルーズは期待に応える大善戦を見せた。後半36分、ルーカス・ポドルスキの同点弾を喫するまでは、世界王者をリード。ホームの大観衆の前で「もしや、番狂わせか」というところまで、世界王者を慌てさせた。

 サッカルーズは、この試合の善戦で大きな自信を得た。絶対的エースのケーヒルや、ドイツでのプレー経験が豊富なロビー・クルーズ(レバークーゼン)といった主力不在でも、直後に公式戦(ユーロ予選)を控えた本気モードに近い世界のトップ・クラスに充分に伍する力があることを示すことができた。

 ちなみに、この日の会場は9年前のドイツW杯、あの“カイザースラウテルンの屈辱(悪夢)”の舞台となったフリッツ・ヴァルター・シュタディオン。日本側からすると「屈辱」の舞台でも、豪州にとってみればW杯初勝利を達成した「歓喜」の思い出の舞台。

 そのスタジアムで、世界王者を破る金星を挙げて、再び「歓喜」をという思いがあったか否か――。結果として、世界王者をあわやというところまで追い込んでの2-2のドローに、試合後のサッカルーズの面々の表情は明るかった。

 続くマケドニア戦は、一転して、サッカルーズの課題が浮き彫りになる試合だった。平均26.09歳という若いラインナップで臨んだこの試合は、終始、圧倒的にゲームを支配しながらも得点を挙げられないまま、スコアレス・ドローに終る。

 この試合では、ここぞという所で決めてくれるケーヒルの不在の影響がまともに出てしまったことは否めない。

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