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香川真司 10年前

復調傾向の香川真司。好不調を判断する上で最もわかりやすいポイントとは?

text by 内藤秀明 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

縦へのドリブルで生んだ二つの決定機

 開始早々の7分、左サイドでボールを受けた香川は、いつものようにゆっくりとボールを持ち出し、カットインしようとしていた。するとソシエダMFマルケル・ベルガラは完全に香川のドリブルのコースを読み、体を入れてボールを奪いきった。あっさりボールを奪われるわけにはいかない香川は、苦し紛れにファールでベルガラを止めてプレーは一旦途切れた。よくないシーンだ。

 しかし、このシーンを経て香川は心のどこかで「カットインを読まれているな…」そんな風に思ったのかもしれない。その後、積極的な「縦へのドリブル」という香川にしては珍しいプレーを選択し、いくつもチャンスを演出した。この「縦へのドリブル」による決定機は二つあった。

 一つ目は38分、左サイドでボールをもった香川は、「縦へのドリブル」で相手のタイミングを外して、抜ききらない内に左足でグランダーのクロスを送る。そのクロスにこの日先発出場していたチチャリートがニアに飛び込んだ。ギリギリのところでチチャリートの足には届かなかないものの、あと少しで得点が決まりそうな惜しいシーンだった。

 二つ目は50分。右サイドでボールを持ったバレンシアがクロスを送ると、そのボールはファーで待ち構える香川の下へ。そのロングボールを左足でトラップすると、右足でゆっくりと「縦へのドリブル」で運びながら、ボックス内で左足を用いて相手の股を抜くグランダークロスを送る。

 そのクロスはチチャリートの足下に綺麗に向かい、チチャリートはダイレクトでシュートを放つも枠外に。こちらは、チチャリートが外してはいけないシーンだった。

 いずれにしても香川のパフォーマンスがよかったのは変わりない。特に二つ目のシーンに関してはもう一つ注目したいポイントがある。それは、バレンシアからのクロスがきた時のトラップだ。

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