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名門バレンシアがついに身売りへ。財政面難を招いた市長の無謀な新スタジアム建設計画

text by 山本美智子 photo by Rafa Huerta

負債返却のために主力放出総額9000万ユーロ

名門バレンシアがついに身売りへ。財政面難を招いた市長の無謀な新スタジアム建設計画
バレンシアがこんな経済問題に巻き込まれる理由は全くもってなかった

 サッカー面に話を戻せば、バレンシアがこんな経済問題に巻き込まれる理由は全くもってなかった。メスタージャは、確かに老朽化が進んでいてCLの決勝を行うことはできないが、試合をするのに不自由はなかった。メスタージャを売却する必要も、このタイミングで新スタジアムを作る必要も、サッカー的にはなかった。

 負債を返却するために、バレンシアはここ数年、ビジャをはじめ、シルバ、マタ、アルビオル、ジョルディ・アルバ……とチームを支えてきたスター選手を放出し続けてきている。今年はソルダードがトッテナムへ移籍。実際、これらの選手の移籍金で、バレンシアは9000万ユーロを回収したのだ。

 これだけの主軸を次々と放出する状況に耐えながら、降格しないで踏ん張っているどころか、欧州枠(CLやEL)に入っているのだから、ここ数年のバレンシアの選手と監督の頑張りには、頭が下がる思いだ。

 2013年7月現在、バレンシア財団にはスタジアムの建設再開のオファーが届いており、建設会社のエバターアレナが引き受けることになりそうだ。だが、バレンシア州政府もクラブサイドも、大きなアナウンスを打つことはせず、慎重を期している。

 昨年は、バレンシアのソシオ数が派手に落ち込み、それを取り戻すために年間パスの金額を下げたバレンシアだが、本格的な新スタジアムの着手が始まった場合、年間パスの料金を上げることになると地元紙は暴く。

 また、スタジアム建設を請け負うとオファーを出している企業の中には、現在はバンキアが最高株主となっているバレンシアCFの株を70%以上の求めているところもあり、事実上、バレンシアがクラブ組織から企業に吸収されることに意義を唱える声も多い。

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