公金横領、詐欺などの罪に問われている市長
もっとも、現在のバレンシアCFは最高株主であるバンキアの支配下にあり、そのおかげで2部B降格を免れた経緯もある。よって、スタジアムに企業名が冠されようが、純粋なサッカークラブとして存続できず企業の息がかかることになろうが、このクラブ~銀行~自治州政府の黄金ラインは、そう簡単に崩せないのが現実だ。
この黄金ラインに対し一般市民からは、バレンシア州政府が不況に苦しむ人々に仕事を与えることに予算を使うべきではないか、という不満の声もあがっている。
ちなみに、リタ・バルベラ市長と元バレンシア州政府首相フランシスコ・カンプス(スタジアム建設のサインを行った時の首相でもある)は現在、公金横領、詐欺、背任、偽造文書管理の公式犯罪に問われている。
果たして、新スタジアムが日の目を見るのは、いつの日になるのか。
政治の野望と経済不況の狭間で揺れるバレンシアを、今年から率いる監督のジュキッチと選手達、そして応援するサポーターには、今年も幸あれと祈るしかない。スペインの言い回しにあるように、「宗教や伴侶、政党は変えることはできるが、ひいきのサッカーチームだけは変えられない」のだから。
【了】
関連リンク
バルサ対レアルの“クラシコ”が世界で一番盛り上がる理由
なぜJクラブの経営危機は繰り返されるのか?
欧州サッカー批評ISSUE08