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本田圭佑 10年前

本田圭佑が子供たちに伝えたいこと(その3)

text by 森哲也 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , editorial staff

「無理って言うよりも、無理なことに突撃していかないと本田といる意味がない」

――一緒に戦っている感じはすごくしますね。

「例えば森さんに今から南極大陸に行って、旗を立ててきて欲しいと」

――さっきから例え話がブッ飛んでますよね。

「その時、森さんが無理な理由を言えることの方が多くないですか? もう何歳だし、死ぬかもしれないし、防寒具も持ってない。飛行機もどうやって取ったらいいかわからない。

 そうやって無理な理由を挙げる方が絶対簡単なんですよ。でも僕は今、ブレーキは取り外してしまっていいと思ってるんです。あくまでもみんなのことを考えながらですけど。

 無理なことを無理って言うよりも、無理なことに突撃していかないと本田といる意味がない。折角あんな、無鉄砲さと論理的なところが融合した背中で語る男の側にいるのに、無理なことを無理と言うことほど、もったいないことはないと思うんです」

――なるほど。そういう気持ちがあるからついていけるというか。

「だから本田に憧れてるだけの人間がうちの会社に入ってきたら、まず間違いなく辞めると思いますね。そんなに甘くないです」

――今日その一端をうかがっただけでも大変さは伝わってきます。

「現実はそんなに甘くないし、本田が辿っている道筋というのもそんなに甘くない」

――では簡単にもうノーと言わないわけですね。本田さんのやりたいことに。

「意見は言いますよ。イエスマンほど人生にとってつまらないものはないと思っているので。圭佑にも、子供たちにも、自分に対しても常に正直でいたい。嘘をついたら絶対に子供たちに伝わると思っています」

――確かに大人が思っている以上に子供は敏感に感じとるかもしれない。でもそうやって人とは違うレールの上で生きていこうと思ったら、相当大変だろうなと。勇気もいると思います。

「勇気はいりますけど、楽しいですよ。もちろん一夕一朝でできることじゃないですが、スタッフみんなワクワクしていますし、その(夢を叶える)景色を子供たち含めみんなで見たいじゃないですか。僕たちがまだ見れていないからって子供たちに見せられないってことじゃないと思うんです」

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