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イブラが放った圧倒的な存在感。パリの“役者”がレバークーゼンを辱めた伝説的な夜

text by 本田千尋 photo by Ryota Harada

イブラヒモビッチの「very good」

イブラが放った圧倒的な存在感。パリの“役者”がレバークーゼンを辱めた伝説的な夜
ズラタン・イブラヒモビッチ【写真:原田亮太】

 88分には、イブラヒモビッチを起点とする左サイドからの崩しから、パリが流れるようなパスワークを魅せて、キャバイエが決めた。レバークーゼンにとっては、痛恨の4失点目だった。パリのアウェイで5ゴールを奪うのは、不可能だろう。

 ドイツの雄は、成す術なく沈黙した。失意のブーイングが、バイアレーナにこだました。

 数台のテレビカメラの前で、大勢の記者たちに囲まれてインタビューを終えると、イブラヒモビッチは早足にその場を離れた。別の場所で待ち構えたフランス人記者たちは追い縋りながら、仕方なく「How do you feel now?」と問い掛ける。

「very good」と言いながら、イブラヒモビッチの表情は、ちっとも「very good」じゃなかった。さっきあれだけ応えたから、もういいだろう…、顔はいつでも雄弁である。男は役者にはなり切れないようだ。

 ズラタン・イブラヒモビッチは、フットボーラーとして、レバークーゼンの地に圧倒的な存在を刻み込んだ。

【了】

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