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長友佑都 10年前

好調ローマの零封に貢献。インテル・長友佑都が見せた成長とは?

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

ジェルビーニョへの対応に奔走

 慎重に最終ラインに残り、ジョナタンと一緒に上がって行くようなポジショニングは控える。こうしてジェルビーニョがスピードを活かし、3バック裏のスペースを狙ってくるような時も、事前にスペースへフタがされるのだ。

 ただ、警戒するべきはウイングだけではない。ローマが本当に怖いのはサイドでのコンビネーションプレイであるウイングがワイドに拡がってパスを引き出せば、周囲のDFが引き寄せられスペースが出来る。そこに人数を掛けパスを回し、敵陣を崩すのが彼らの攻撃の基本だ。

 そのうえで長友は、周囲の選手と緊密な連係を図って相手のサイド攻撃を制限していた。相手が遅攻を掛ける際には、ウイングにディレイを掛けつつファン・ジェズスへマークを受け渡し、アウトサイドに流れて来るSBやMFをケア。

 こうして相手の動くスペースを丁寧に消しつつ、ボールホルダーが挟める時にはプレスで掴みに行った。18分、ファン・ジェズスと共にジェルビーニョの動きを止め、ボールを奪取したシーンなどはまさに狙い通りの形だっただろう。

 一方でローマのウイングは、ただサイドに張るのみならず、外から中へ絞って外のスペースを空けようともする。そこでも長友はクレバーに対処。後半14分、中へ絞ったジェルビーニョのマークに付きつつ、サイドを開けたトロシディスにも目を光らせ、折り返しが出たところでクロスを冷静にカットした。

【次ページ】ミス少なかった長友
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