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日本代表 10年前

苦境の中でも発揮された香川真司の真骨頂。PK奪取、アシストを生んだ“技術力”とは?

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo / Football Channel

「ネガティブになるよりはいいところもあった」

 試合勘の部分がかなり心配されていたが、立ち上がりから意欲的なプレーを見せ、開始4分には岡崎慎司の先制点をアシストした。相手の危険なFKを逃れた後の攻撃で、長友から自陣のライン際でパスを受けた香川は、長友が外から追い越そうとする動きに相手の意識が引き付けられる現象を活かし、斜め前にドリブルで持ち上がる。

 そこから1トップの大迫勇也が左前に動き出し、本田が中央を走ったが、香川は右外から裏に飛び出す岡崎をしっかり見ていた。

「真司がよく見れくれていたというのがあるし、相手が警戒してなくて、自分が完全にフリーになれていた」と岡崎は評価する。ボールを運びながらも周囲の動きを視野に捉え、得点の形をイメージできる香川ならではの持ち味がアシストにつながったのだ。

「感覚的にはちょっと難しいところはたくさんあったけど、ネガティブになるよりはいいところもあった」

 そう語る香川は前半17分にはドリブルから本田に効果的なパスを通し、岡崎の2得点目につなげた。その後も左を駆け上がる長友とうまく絡みながら、惜しいクロスや仕掛けを見せ、時に守備でも奮闘した。

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