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日本代表 10年前

苦境の中でも発揮された香川真司の真骨頂。PK奪取、アシストを生んだ“技術力”とは?

マンチェスターで苦しい時を過ごす香川真司だが、ニュージーランド戦では技術の高さを見せつけた。PKを奪取した突破、岡崎のゴールを生んだアシスト。『サッカー日本代表 「個の力」の本当の意味』(実業之日本社)で香川の項を担当した河治良幸氏が分析する。

text by 河治良幸 photo by Asuka Kudo / Football Channel

「一瞬のイマジネーションが噛み合った」

「ゴールはゴールなんで、素直に喜ぼうと思ってました」

苦境の中でも発揮された香川真司の真骨頂。PK奪取、アシストを生んだ“技術力”とは?
香川はそのままゴール裏に向かい、右腕でガッツポーズを作った【写真:工藤明日香 / フットボールチャンネル】

 親善試合ということもあるが、自分がファウルを受けて獲得したPKを香川真司は本田圭佑にも譲ることなくペナルティスポットに立った。右足のインサイドで蹴ったボールはGKのモスに触られたが、勢いが勝る形でゴールネットを揺らす。香川はそのままゴール裏に向かい、右腕でガッツポーズを作った。

 PK獲得にいたる流れを作ったのも香川だった。吉田麻也、長友佑都とつないだところから縦パスが出ると、相手の右SBを引き連れながら縦パスを受け、自陣を戻るドリブルから吉田にバックパス。

 右サイドを駆け上がる酒井宏樹を目がけた吉田のサイドチェンジパスはSBのトゥイロマに弾き返されたが、それを右サイドで拾った本田が岡崎とのワンツーを仕掛ける。一度はスライディングで止められたが、本田は粘り強く中につないだ。

 そのボールを受けたのは香川だった。一度左サイドでボールを捌いたところから、10秒ほどの間に本田が流れて生じた中央のスペースまで上がっていたのだ。

 本田のパスを左足でトラップした香川は正対するセンターバックのボクスオールを左に破るフェイントから右に切り返して縦に突破。横からタックルに来たデュランテをマルセイユルーレットでかわそうとしたが、背後から完全に引っかけられる形で転倒した。

「一瞬のイマジネーションが噛み合ったというか、あのまま抜ければもっと良かったですが」と振り返る香川だが、ゴールを目指した結果としてのPKだけに、本人の中でも満足度は高い様だ。「毎試合、常にゴールを取るイメージで臨んでいます」と語っていたアタッカーにとって。クラブと代表を合わせて176日ぶりとなる嬉しいゴールとなった。

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