フットボールチャンネル

日本代表 10年前

穴がないところに穴を開ける――。岡崎慎司が語る得点を生む極意

text by 元川悦子 photo by Ryota Harada , Getty Images

「今は何も背負うものはなくて、ただ単にこのチームで勝ちたいと思う」

 後半に停滞感が色濃く漂った分、岡崎の存在感がひと際大きく感じられた。2008年の国際Aマッチデビューから6年間で73試合に出場し38ゴールという数字は滅多に残せるものではない。

 原博実(現日本サッカー協会専務理事)の持つ37を抜き去り、歴代代表得点ランキング3位にも浮上した。名実ともに日本のトップストライカーに名乗りを挙げたのは間違いない。

「2点目はちょっと運もあったと思うし、圭佑がよく見てくれていたというのもある。基本的に自分があそこに入ってくるというのは、いつもみんなが見てると思うので、僕も準備していて、ゴールにつながった。運が50%くらいあって、原さんを早く抜けということだったと思います。

(国立での国際Aマッチで5点目?)国立では決めているイメージよりも苦い思い出の方が多い。Jリーグでも3回カップ戦で銀メダルだったし、選手権でも2回負けているし、そういう印象が強い。どっちかというと、国立にくると力んでしまうので、(改修前最後の試合を)いい形で終われてよかったです」と彼は素直に喜んだ。

 4年前の南アフリカW杯では直前にスタメンから外され、「ベスト16の達成感は先発で試合に出ていた人だけが達成感を感じられる。自分には悔しい気持ちしかない」と屈辱感に打ちひしがれた岡崎。だからこそ、次こそは思いは強いはずだ。

「今度はチームの中心で出るって強い思いはもちろんあるけど、あんまり自分は大きなことは口にしたくない。ノープレッシャーでW杯に行きたいんでね。

 自分の中では途中から出ようが何だろうが、チームのために戦える準備をしてる。それは何かが怖いからとかじゃなくて、それくらい代表が好きっていうことですね。今は何も背負うものはなくて、ただ単にこのチームで勝ちたいと思うから。

 みんなのことがすごい好きだし、サポーターもやっぱり期待してるし。自分が犠牲になるつもりはないけど、そういう役目になったとしても戦える。そのくらいの犠牲心持っていきたいですね」と、岡崎は謙虚さを忘れず、マインツへ戻って自己研さんを続けていく。

【了】

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top