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日本代表 10年前

大迫勇也はザックに何を求められていたのか?「DFとボランチの距離を広げるために動き続けていた」

text by 元川悦子 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography , Ryota Harada

「気になったのは、4点を取ってから1人ひとりの距離感が遠すぎたこと」

「点を取りたかったですけど、監督の指示で相手のDFとボランチの距離を広げるために動き続けていたら4点が入った、という感じでした。相手がまん中を固めてサイドに全然いない状況だったから、それも仕方ない。

 サイドで起点を作りながら、そこでコンビネーションで崩せれば、真司さんもそうだけどうまく崩せた場面もあった。ああいうのを増やせたらいい。もっと動きの質を高めれば、自分もボールをもらえるようになると思うんで、そこ意識してやっていくしかないかな」

 その後、チーム全体が間延びしてペースダウンを余儀なくされ、大迫にボールが入る回数は一段と減った。彼にとってははより難しい状況になったのは間違いない。後半は4人もメンバーが変わり、より連動性がなくなってしまった。それでも惜しい形は皆無ではなかった。そういう時に決めてこそ、本物のストライカーだと彼自身は考えていたようだ。

「正直、自分にもチャンスはあったし、決めていればもっとよかったと思います。シュートを打てるところでパスを選択した場面もあったけど、それは自分の態勢やボールコントロールの問題もあって仕方なかったですね。

 クロスに関しても、(酒井)宏樹からいいタイミングで入ってきた時は確かにあった。ちょっとのズレで決めきれなかったけど、そこをうまく合わせられればきっと点につながる。日本人同士だし、タイミングよくやれると思います。

 ただ、少し気になったのは、4点を取ってから1人ひとりの距離感が遠すぎたこと。ボールを取った後とかも遠かったし。攻守の切り替えの時に近くでできれば、もっとチャンスが増えていたと思いますけどね。

 そのことについて、後半が始まる前、(本田)圭佑さんと少し話しました。2人でいい距離感で攻撃にしろ守備にしろボールを追えたり、パス交換ができればチャンスも出てくるし、ボールをうまく限定することもできるということを話し合っていました。圭佑さんの考えを言われたけど、俺もそう思っていたから。

 それで後半はそういうことを意識しながらやったんですけど、結局、点は取れなかった。でも試合を重ねればもっとよくなると感じた。自分も久しぶりに代表でやれて楽しかったです」

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